子どもの死者3700人超に “死と隣り合わせ”の日々「ガザ地区」の子どもたちは…
イスラエル軍とハマスによる武力衝突が日々、激しさを増しています。戦闘激化に伴い、一般人の犠牲者も増え続け、子どもの死者は3700人を超えています。毎日が死と隣り合わせの子どもたち。現地の声を取材しました。
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暗闇を切り裂くように町にふりそそぐ、いくつもの照明弾。イスラエル軍は、イスラム組織「ハマス」を壊滅するとして、連日、ガザ地区に激しい攻撃を続けています。
そして、現地時間の2日――
イスラエル軍 報道官
「ガザ市の包囲を完了した」
軍事作戦は「次の段階に入った」として、ガザ市内で地上作戦を本格的に展開していると明らかにしました。
さらに、ガザ地区北部の難民キャンプを3日連続で空爆しました。
「安全な場所は、どこにもない。『学校に避難しろ』と言われたのに、攻撃された」
避難所となっていた学校も被害を受け、少なくとも20人が死亡したということです。(※国連機関による)
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衝突が激しさを増すなか、命の危機にさらされているのが、何の罪もない子どもたちです。武力衝突による子どもの死者は、双方あわせて3700人を超えました。
イスラエル人のオハドくん・9歳。
オハドくん(9)
「このバイクは、リモコンで動くんだ」
「ハマス」に連れ去られ、安否が分かっていません。オハドくんの父・ジヒリさんに話を聞きました。
オハドくんは、母・ケレンさんと「ガザ地区」近くにある親戚の家を訪れていた際に、「ハマス」の襲撃を受けました。あの日、母・ケレンさんから父・ジヒリさんには、こんなメッセージがありました。
母・ケレンさんからメッセージ
「テロリストが町に侵入してこないか不安。トイレに行く時以外は、シェルターにいる。玄関のドアには、鍵をかけた。オハドは、いまテレビを見てる」
その不安は現実になりました。ケレンさんとオハドくんとは、連絡がつかなくなったのです。
ジヒリさんが2人を捜しにいくと、そこには、破壊され黒焦げになった家が残されていました。その後、携帯のGPS情報により、「ガザ地区」で人質になっていることが分かったといいます。
去年は、家族で一緒に祝った、オハドくんの誕生日。今年は、家族離ればなれです。ジヒリさんは、心労で睡眠薬が手放せなくなったといいます。
オハドくんの父 ジヒリさん
「オハドは、とてもかわいい子で、みんなに愛されていました」
オハドくんの部屋は、連れ去られる前のままにしてあります。
オハドくんの父 ジヒリさん
「これは、オハドが残していったものです」
オハドくんの面影を感じながら、ジヒリさんは無事を願い続けています。
オハドくんの父 ジヒリさん
「早く家に帰ってきてほしい。願いはただそれだけです」
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一方、「ガザ地区」にいる子どもたちは、過酷な生活を強いられています。
アイルランドから「ガザ地区」に住む親戚の家を訪れていた際に、軍事衝突に巻き込まれたアラガさん一家。今は「ガザ地区」南部にいますが、生活は日々厳しさを増しています。食べ物や日用品の不足に加え、通りにゴミの山や下水があふれるなど衛生面も悪化。水道もほとんど使えず、海水や井戸水を口にせざるを得ない状況だといいます。
一部の外国人は、エジプトとの境界にあるラファ検問所からの退避が許可されましたが、アラガさん一家は、まだ退避を認められていません。
過酷な生活が始まって、間もなく1か月。アラガさんの長男・8歳のサミくんが、オンラインのインタビューで胸の内を語りました。
サミくん(8)
「戦争で一番怖いのは、夜です。ガザ地区のことが嫌いな人たちが、夜になると家を壊してくるんだ」
食事もままならず、学校にも行けず、夜には電気もネット回線も止まる日々。サミくんに、平和になったらしたいことを聞くと…
サミくん(8)
「外に出て、遠くに住んでいる友達に会いに行きたいです」
ささやかな願いがかなう日を、待ち続けています。