キーウの医師「すべての時間をウクライナのためにささげる」……就寝は「地下シェルター」1か月超も帰宅せず
ウクライナ第2の都市・ハルキウではあちこちで炎が上がり、首都キーウ近郊でも攻撃がやまないといいます。ゼレンスキー大統領は東部への集中攻撃を警戒。ジャーナリスト佐藤和孝さんが取材したキーウの病院では、過酷な状況で治療が続けられていました。
■ハルキウの住民「どこに住めば…」
ウクライナ第2の都市ハルキウ(ハリコフ)では3月31日、至る所で炎が上がっていました。
被害を受けた店のオーナー
「砲弾が直撃しました。全て焼き尽くされています。私の店は破壊されました」
ハルキウの住民
「私の家には3発のミサイルが当たりました。私たちはどこに住めばいいんでしょうか?」
ロシア国防省は3月30日、ウクライナ国内での空爆の映像を公開しました。日時や場所は明らかにされていませんが、ウクライナの防空拠点を標的にしたものだといいます。
■首都キーウ周辺に…「毎日攻撃」
ゼレンスキー大統領は、東部への集中攻撃に警戒感をあらわにします。
3月31日投稿のフェイスブックでは、「(東部の)ドンバス、マリウポリ、ハルキウ方面ではロシア軍が攻撃を行うために力を集結させている。占領者を阻止し、邪悪で無意味な怪物をわれわれの土地から一掃するために、できる限りのことをする」と強調しました。
ロシア軍が活動の大幅縮小を主張したはずの首都キーウ(キエフ)周辺。ただ、ロシア軍から奪還したキーウ近郊・イルピンの住民たちは31日、「攻撃は続いている」と証言しました。1人は「昨日、たくさん砲撃されました。主に戦車による砲撃でした」と話しました。
イルピンからキーウに避難した人も、攻撃の恐怖にさいなまれていました。
車いすに乗った避難民は「毎日攻撃が続いています」と語りました。ある人は、感情をあらわに声を詰まらせ「ショックです。もう嫌…」。祈るように、両手を胸の前で組みました。別の避難者は「平和を期待しましょう…」と言うと、すぐ両手で顔を覆いました。
■他国から…薬など支援物資が病院へ
ジャーナリストの佐藤和孝さん(ジャパンプレス)は31日、首都キーウの中心部から約5キロの場所にある、心臓外科病院を訪ねました。海外から、薬などの支援物資が届いていました。
トドゥロフ医師
「ドイツから送られてきた抗生物質です。国からの支援が止まっているので、こうした物が本当に必要です」
負傷した兵士も運ばれてきます。また小児科のICUには、治療を受ける多くの乳児の姿がありました。
トドゥロフ医師が「この子はミルクを管から与えています」「この子は昨日、手術を行いました。とても重い、先天性の心臓疾患を抱えています」と説明しました。
軍事侵攻が始まってから1か月以上が経ちましたが、約240人いる職員は、家に帰らずに治療に当たっているといいます。夜、寝る時は地下のシェルターに移動します。
トドゥロフ医師
「全てのウクライナ人が、ロシアに勝利するためそれぞれの立場で戦っています。私は医師として、全ての時間をウクライナのためにささげます」
■何が?ロシア「燃料貯蔵所」炎上
原子力発電所を運営するウクライナの国営企業は、ロシア軍が占拠していたチョルノービリ(チェルノブイリ)原発から撤退したと明らかにしました。
一方、ロシア・ベルゴロドにある燃料貯蔵所では4月1日、激しい炎と黒煙が上がっていました。ロシア政府は、ウクライナに攻撃されたと非難しました。
これに対し、ウクライナのクレバ外相は「ウクライナの関与を確認も否定もできない」と述べました。
(4月1日『news zero』より)