映画「バービー」配給会社が謝罪コメント 原爆投下“揶揄”するSNSに不適切反応し…
アメリカで大ヒットしている映画『バービー』の配給会社が謝罪のコメントを発表しました。SNSに投稿された、映画「バービー」の画像を加工した原爆投下を揶揄するような画像に対し、配慮に欠けた反応をしたというのです。しかし、受け入れられないという声は広島だけでなく、アメリカでも上がっています。
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先月21日、アメリカで公開された映画『バービー』。
街の人
「娘と一緒に見たい。私はバービーが大好きなの」
現地では大ヒットを記録しています。しかし、批判の声もあがっています。
女性(アメリカ・ロサンゼルス)
「許されない。許されないことだと思います」
別の女性(アメリカ・ロサンゼルス)
「不適切だと思います」
さらに、11日から公開予定の日本でも。
街の人
「若干マイナスな印象を、ちょっとだけ受けちゃいますね。どうしても」
街の人
「話題にはなるかもしれないけど、やりすぎな気がします」
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発端となったのが、SNSに投稿された画像です。
『バービー』と同じ日に公開された映画『オッペンハイマー』で、原爆の開発を主導した科学者役の俳優がバービーを肩に担いでいる画像で、2人の後ろには、爆発したような炎が描かれています。
別の画像では、バービーの髪がキノコ雲のように変えられていました。原爆を揶揄するような投稿です。
どちらの画像にも“バーベンハイマー”という文字が書かれています。“バーベンハイマー”という言葉は、アメリカで生まれた造語です。『バービー』と『オッペンハイマー』を合体した言葉で、現地では“2つの作品を続けて鑑賞する”という意味で使われるようになりました。
さらに、ファンが2つの作品をかけあわせた画像を作成し、SNSで拡散されるなど社会現象となっているのです。
そこに反応したのが、映画『バービー』のアメリカの公式アカウントでした。
公式アカウントは、バービーの髪がキノコ雲のようになった画像の投稿に対して「このスタイリングはきっとケンだね」と投稿しました。また、原爆投下を連想させるような激しく燃える炎の画像にも「忘れられない夏になる予感」と絵文字つきで、冗談めいた返答をしたのです。
これに対し、SNSでは「ネタにしていいものではない」、「悲しすぎて言葉にならない」など、日本語で批判的なコメントが相次ぎました。
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これを受け、日本で『バービー』を配給するワーナーブラザースジャパンは、「アメリカ本社の配慮に欠けた反応は、きわめて遺憾」と声明を発表しました。
すると、アメリカ本社も「ワーナー・ブラザースは、最近の無神経なソーシャルメディアへの関与を遺憾に思います」と、謝罪のコメントを発表しました。
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今月6日に78回目の原爆の日を迎える広島で、アメリカで起きたこの問題について街の人に聞きました。
60代 親族が被爆
「キノコ雲はすごくナイーブというか、広島に住む人間にとって嫌なものなんです」
80代 広島県民
「原爆を受けた日本の者としては、ちょっと受け入れられない画像だなと思います」
50代 広島県民
「キノコ雲を見て嫌な気持ちがするという人がいることに対する理解が足りないなと思います」
アメリカの本社は、問題となっているツイートを削除したということです。