北方領土で「観光ツアー」見えた絶景とは?
北方領土の名所をめぐる「観光ツアー」が試験的に行われ、日本人観光客ら44人が国後島と択捉島に上陸した。日本とロシアの共同経済活動を進めるためのこのツアー。案内されたのは、北方領土の知られざる絶景スポットの数々だった。
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北方領土のひとつ、国後島。北海道の目と鼻の先にある。北方領土での日本人の観光ツアーはこれが戦後初めて。絶景スポットを巡る旅をNNNのロシア人スタッフが撮影した。
移動に使うのは特別に改造されたバス。国後島は舗装された道路が少なく、普通の車やバスではたどり着けない観光地が多いため。
まず一行が向かったのは、海岸にそびえたつ巨大な岩。「ローソク岩」と呼ばれる観光名所。地元ではその形から「悪魔の指」とも呼ばれている。
絶景スポットはほかにも。島の南部にある美しい湖。火山活動によってできた湖の周辺には、手つかずの自然が広がる。
ランチはロシア料理。魚とキャベツのピロシキにボルシチのスープ、そして魚のカツレツにボイルポテトとボリューム満点。
一方、日本人の島民が眠る古釜布墓地。1945年の終戦時、国後島にはおよそ7400人の日本人が住んでいた。
翌日、一行が向かったのは、今回のツアー最大の難所。バスは大きく傾きながら海の中を進んでいく。こうしてたどり着いたのは、「材木岩」。噴き出した溶岩が柱のように固まり、まるで材木のように見えることから名づけられた。
3日目には、一行は北方領土最大の島、択捉島へ。択捉島は火山島のため温泉がある。ロシア企業によってつくられた温泉施設で、旅の疲れを癒やす。
サハリン州の観光局の代表は、今後の観光ツアーの事業化に大きな期待を寄せている。
パホルコヴァ観光局長「この試験ツアーの評価が良いことを祈っています。ロシアと日本の企業が協業しているので」
一方、日本政府がこの観光ツアーの先に見据えるものは、領土問題の解決。
菅官房長官「共同経済活動の実現に向けた取り組みを通じて北方領土問題の解決、そして平和条約の締結にたどりつくことができるとの考えのもとに」
政府は、今回のツアーの課題を洗い出した上で、本格的な事業実施につなげていきたい考え。