プーチン大統領 米との新戦略兵器削減条約の履行「停止」 侵攻“正当性”を強調「ロシアは常に戦争止めるために尽力」
ロシアのプーチン大統領が21日、軍事侵攻から1年を前に「年次教書演説」を行いました。演説の中で大統領は、ウクライナ侵攻を継続する姿勢を示した上で、核兵器削減に向けアメリカとの間に唯一残された新START(=新戦略兵器削減条約)の履行を、一方的に「停止する」と述べました。
◇
日本時間の21日午後6時すぎ、ロシアのプーチン大統領は今年の外交や内政の基本方針を表明する「年次教書演説」を行いました。
プーチン大統領
「ウクライナのネオナチ政権からの脅威を排除するため、特別軍事作戦を一歩一歩、慎重に進め、直面している課題を着実に解決していく」
大統領は演説の冒頭から「ウクライナ侵攻」について言及し、改めて侵攻の正当性を強調しました。
プーチン大統領
「この戦争を起こしたのは西側諸国であり、ロシアは常に戦争を止めるために尽力している」
さらに、侵攻を継続する姿勢を示しました。
プーチン大統領
「欧米諸国はウクライナでの紛争を、世界的な対立に変えようとしている。彼らは戦場でロシアを負かすことは不可能だと理解すべきだ」
ウクライナ侵攻が始まって、24日で1年となります。侵攻開始以来、初めてとなる教書演説に多くの軍関係者も招待される中、プーチン大統領は「ロシアの核抑止力は91%以上 で最新の兵器を装備している。ロシアの武器や装備のほとんどが他国のものよりも大幅に優れている」と述べ、核を含めたロシアの兵器の威力をアピールしました。
また「夫を戦場で亡くした妻や子供たちの耐えがたい苦しみが分かります」とも言及し、侵攻で亡くなった人々に対し黙祷をささげる場面もありました。その上で、“国民の大多数が軍事作戦に賛成している”とも述べました。
プーチン大統領
「国民の大多数は特別軍事作戦に完全に賛成している。皆さんに感謝しています」
大統領の演説を聞いたモスクワ市民は…
モスクワ市民
「よかったと思います。特別軍事作戦に行っている兵士にも支援があると思うので、私たちは大統領を支持します」
「(演説には)一切、興味ありません。これから楽観的ではいられません」
◇
さらにプーチン大統領は、アメリカとの間で戦略核弾頭や大陸間弾道ミサイルなどの数を制限することを定めた新START(=新戦略兵器削減条約)の履行を停止すると一方的に発表しました。
プーチン大統領
「ロシアは戦略兵器削減条約に求められた活動を停止します」
これに対し、アメリカのブリンケン国務長官は21日、「非常に残念で無責任なことだ」と批判し、「ロシアが実際に何をするか、注意深く見守っていく」と述べました。
アメリカのバイデン大統領は20日、ウクライナを電撃訪問し、空襲警報も鳴り響く中で約5時間、キーウに滞在しました。この後、侵攻1年を前に、ポーランドで演説を行う予定です。
(2月21日放送『news zero』より)