米下院が大統領弾劾訴追可決 舞台は上院へ
アメリカ・トランプ大統領のウクライナ疑惑をめぐり、議会の下院はトランプ大統領を弾劾訴追する決議案を可決し、大統領は弾劾訴追された。ワシントンから星真理子記者の報告。
アメリカの大統領が弾劾訴追されるのは史上3人目。次は議会・上院に舞台を移し、大統領の罷免をめぐって弾劾裁判が開かれることになる。
民主党・シフ下院議員「トランプ氏は次の選挙で不正を試みて、国家の安全保障を犠牲にした。弾劾されるべきだ」
共和党・ロジャース下院議員「いかさまであり魔女狩りだ。クーデターに等しい」
採決は、トランプ大統領が来年の大統領選挙を有利に進めるためウクライナに圧力をかけた「権力乱用」と、議会の調査を妨げた「議会妨害」の2つについて行われ、日本時間19日午前10時半ごろ、賛成多数で可決された。現職大統領の弾劾訴追はジョンソン大統領、クリントン大統領以来で史上3人目。
一方、トランプ大統領はこの日、記者団の質問には一切答えず、中西部・ミシガン州の支持者の集会へと向かった。集会の演説では、弾劾の動きに猛反発している。
トランプ大統領「我々は何も間違ったことはしていない。誰も得たことがないほどの支持を共和党から得ている!」
今後、年明けにも上院で弾劾裁判が開かれる見通し。ただ、与党・共和党が多数を占めるため、大統領は無罪となる見通しで、罷免される可能性は小さいとみられている。
-Q.来年の大統領選挙にはどのように影響するのだろうか?
実は、トランプ大統領の支持率を見ると、これまでのところ大きな影響は出ていない。弾劾に向けた調査が進む中でも、大統領の支持率は約4割を維持したまま。今月行われた複数の世論調査では、むしろ、弾劾反対が賛成を上回る結果も出ている。
大統領はダメージを最小限に抑えようと、民主党による「違法なクーデターの試みだ」などと批判を強めている。大統領選挙が迫る中、弾劾を求める動きが、共和党内の結束を強めている可能性もある。