【時系列でわかる④】ガザ保健当局「24時間のちに704人が死亡」(21日~24日)
10月7日、中東パレスチナ自治区のイスラム組織「ハマス」が、イスラエルに向けてロケット弾などによる激しい攻撃を開始。イスラエル側も反撃し、武力衝突が激化しています。
イスラエル軍は、地上侵攻への準備を進めるなかで空爆を強化しているとみられ、23日から24日にかけて400か所以上を攻撃したということです。
ガザ地区の保健当局は24日、「24時間のうちに704人が死亡した」と発表しました。1日の死者数としては最も多いとしています。
武力衝突をめぐる動きを、時系列でまとめます。
イスラム組織「ハマス」は20日、カタールの仲介により、アメリカ国籍の人質2人を解放したと発表しました。今後も人質解放に向けた交渉が続く見通しです。
「ハマス」は、パレスチナ自治区のガザ地区に約200人の人質をとっていて、その安否が懸念されています。
こうした中、「ハマス」は20日、カタールの仲介により、人道的な理由から人質のアメリカ国籍の母娘2人を解放したと発表しました。
アメリカのブリンケン国務長官は、2人はすでにイスラエル側に引き渡されていて、まもなくアメリカ大使館の職員と面会すると明らかにしました。
人質の解放をめぐっては、カタール政府が「イスラエルやハマスとの対話を継続する」としていて、今後も交渉が続けられる見通しです。
一方、パレスチナ自治区のヨルダン川西岸では、抗議活動を行っていたパレスチナ人とイスラエル当局との衝突が続いています。
「ハマス」の大規模攻撃以降、ヨルダン川西岸では、81人のパレスチナ人が死亡していて、ガザ地区を含めて、双方の死者数は5500人以上にのぼっています。
ガザ地区の人道危機が深刻になる中、国連のグテーレス事務総長が、エジプトとの間にあるラファ検問所を訪問し、人道支援のための停戦を呼びかけました。
アメリカのバイデン大統領は、今後、24時間から48時間以内に検問所が開通する見通しを示していて、人道支援が進展するかどうか注目されています。
パレスチナ自治区・ガザ地区への人道支援物資の搬入ルートとして開通が焦点となっているラファ検問所に、物資をのせたとみられるトラックが入りました。
ガザ地区とエジプトとの間にあるラファ検問所の映像では、複数のトラックが検問所内に集まり、その周りに多くの人がいることが確認できます。
ロイター通信は、パレスチナ自治区側のラファ検問所当局者の話として、検問所が開通し、支援物資を運ぶためのトラックが入ったと伝えました。ガザ地区の死者が4100人を超える中、イスラエルの封鎖により食料や水などが不足していて、人道支援物資の搬入ルートとしてラファ検問所の開通が焦点となっていました。
滞っていた人道支援が再び動き出すとみられますが、通行が認められているのはトラックわずか20台のため、状況が大きく改善することは難しいとみられています。
イスラエル側は、今回の支援物資の搬入について、物資がハマス側に渡らないことを条件にしていてガザ地区南部に避難している住民への支援に限って認めています。
■10月21日 「カイロ平和サミット」緊張緩和に向け協議も…共同声明など出されず
ガザ地区をめぐる衝突が続く中、エジプトのカイロで21日、情勢の緊張緩和に向けた国際会議が開かれました。
21日に開かれた「カイロ平和サミット」には、日本の上川外相のほか、中東や欧米の35の国や機関などの首脳らが出席しました。
サミットでは、ガザ地区をめぐる緊張の緩和に向けた協議が行われたほか、首脳らが人道支援の強化の必要性などを訴えました。
一方、パレスチナ自治政府のアッバス議長は「私たちは自らの土地から立ち去ることはなく、とどまり続ける」と述べて、イスラエル側をけん制しました。
サミットにはイスラエル側が参加しておらず、共同声明なども出されなかったことから、緊張緩和につながるか不透明な情勢です。
イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザ地区について、「戦争の次の段階に備えるため攻撃を強化する」と発表し、地上戦に移る構えを改めて強調しています。
イスラエル軍は21日、ガザ地区北部の住民に、退避しない場合、テロリストの仲間だとみなすと警告した上で、「次の段階に備えてガザ地区への攻撃を強化する」と発表しました。また、軍参謀総長も「我々はガザに入る」と改めて述べるなど、地上侵攻に移る構えを強調しています。
アメリカ・バイデン大統領「(Q.地上戦を遅らせるよう働きかけているんですか?)イスラエルとは会話している」
こうした中、人質をめぐってイスラム組織「ハマス」は、先日解放した親子2人のほかに女性2人を解放する意向を仲介役のカタールに伝えたものの、イスラエル側が拒否したと主張しました。イスラエル首相府は「ハマスのウソのプロパガンダには対応しない」と反論しています。
イスラエル軍は21日もガザ地区への空爆などを続けていて、ハマス側は中部の街が空爆を受け、少なくとも13人が死亡したと発表しています。
ガザ地区での民間人の犠牲が増え続ける中、イスラエルの攻撃に抗議するデモが各地に広がっています。イギリスのロンドンでは約10万人が参加する抗議デモが行われたほか、ドイツやイタリア、スペインなどでも抗議デモが起きるなど、ヨーロッパ各地にも飛び火しています。
イスラエル軍の報道官は、いまも212人が人質になっていると明らかにしましたが、その安否はわかっていません。
地上侵攻が迫る中、ハマスは、イスラエルに対して停戦を要求していて、人質を解放することでその交渉を優位に進める狙いがあるとみられています。
ただ、ハマスの壊滅を掲げるイスラエルは、停戦交渉には消極的で、人質の家族らは、政府に対し、「ハマスとの戦闘より人質の解放を優先させるべきだ」と訴えています。
こうした中、イスラエル軍は、ガザ地区での地上戦で人質を救出することを想定した訓練を行っています。
その訓練拠点とされているのが、ガザ地区を再現した人工の街です。21日に取材しましたが、砂漠の中に突如、現れる街は、ガザ地区と同様、建物が密集していて、イスラエル軍の中では、「ミニ・ガザ」と呼ばれています。そこで最も重要とされているのが、人口密集地で戦闘員と民間人を区別する訓練だということなんです。
ハマスは人質や幼い子どもたちを“人間の盾”として利用するおそれがありますから、そうした事態に向けた訓練を行っているものとみられます。
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イスラエル軍はガザ地区以外でも、多方面での対応を強いられています。
レバノンからは、イスラム教シーア派組織「ヒズボラ」がイスラエルに対して攻撃を続けていて、先ほども国境付近では、衝突によるものとみられる炎や白煙が確認できるなど、緊迫感が増しています。
また、イスラエル軍は22日、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸で、イスラム教礼拝所を空爆したと発表しました。礼拝所は、ハマスと過激派組織「イスラム聖戦」がテロ攻撃を計画し実行するための拠点になっていたということです。
イスラエルが地上侵攻に踏み切れば、中東情勢は悪化の一途をたどることになります。
人道危機が深刻化しているパレスチナ自治区ガザ地区に向け、支援物資を積んだトラックの第2陣が22日、ガザ側に向かいました。しかし、検問所の近くで砲撃があり、運び込みが中断されたとの情報もあります。
支援物資を積んだトラック17台は、日本時間22日夜、エジプトとの境界にあるラファ検問所を通過し、ガザ側に向かいました。21日にガザに支援物資を運んだトラック20台に続く第2陣の支援となります。
こうした中、ロイター通信は、検問所付近で、第2陣が通過した直後に、砲撃があり、搬入が中断していると報じています。
人道支援をめぐって国連は、1日あたり少なくとも100台分の支援が必要だとしていて、今後も支援を継続できるかが焦点となっています。
こうした中、イスラエル北部で、国境を接するレバノンから、イスラム教シーア派組織「ヒズボラ」の攻撃が続いていることを受け、ネタニヤフ首相は22日、ヒズボラに本格的に参戦しないよう警告しました。参戦した場合、壊滅をもたらすほどの「想像を絶する力で反撃する」と強くけん制しています。
■10月22日 中東紛争“拡大・激化”のおそれ 米外交・防衛トップが警告
イスラエル軍のガザ地区への地上侵攻の緊迫感が一段と増す中、アメリカの外交・防衛トップが22日、紛争が中東各所に拡大・激化するリスクがあると相次いで警告しました。
オースティン国防長官「事態が激化する可能性を懸念している。実際、中東の至る所で米軍と米国民に対する攻撃が大幅にエスカレートする可能性がある」
またブリンケン国務長官も22日、レバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」などを念頭に、「イランの代理勢力」が事態を激化させる可能性に懸念を示しました。
アメリカは中東に迎撃ミサイルシステムなどを追加配備する方針を発表していますが、22日、国防総省当局者はイラク西部でアメリカ軍などが攻撃を受けたと明らかにしました。
国務省もイラクにいるアメリカ大使館職員らの一部に国外退避を命じるなど、緊張が高まっています。
アメリカのバイデン大統領とイスラエルのネタニヤフ首相が電話会談し、ガザ地区への人道支援を継続していく方針を確認しました。
ホワイトハウスによりますと、バイデン大統領とネタニヤフ首相は22日、電話会談で、人道支援がガザ地区に入ったことを歓迎した上で、「支援が今後も継続されることを確認した」ということです。
また、G7=主要7か国の日本を除く欧米6か国の首脳も電話会談しました。共同声明で、イスラエルの自衛権を支持した上で、民間人の保護など国際人道法を守るよう改めて求めています。また人道支援の継続や、紛争の拡大防止のために緊密に協調するとしています。
こうした中、アメリカのCNNは22日、バイデン政権が人質の解放やガザ地区への人道支援のために、イスラエルに地上侵攻を遅らせるよう圧力をかけたとする関係者の話を伝えています。
ガザ地区南部では22日、空爆で亡くなった家族7人の葬儀が行われていました。パレスチナ保健省によると、ガザ地区の死者は、4651人に上っています。
ガザ地区にある病院のすぐ近くにも空爆は落ちていて、難民キャンプにあるモスクも攻撃の対象になっています。イスラエル軍は、モスクや幼稚園などの近くにイスラム組織「ハマス」の攻撃拠点があると主張しています。
一方、イスラエルでも22日、ハマスの手で殺された人々が弔われました。ハマスに捕らえられた人質の解放を求めて、抗議の声が広がり続けています。
イスラエル軍によると、ガザ地区に捕らえられた人質は222人いるといいます。
イスラエル軍は、「次の段階に備えて、ガザ地区への攻撃を強化する」と発表しています。BBCによると、イスラエル国防相は、地上侵攻について「すぐにやってくる」と話したということです。
イスラエル軍は23日、ガザ地区の中に地上部隊を侵入させ、限定的な急襲を実施したことを明らかにしました。その作戦では、人質の捜索も行われたということです。
国内外から人質の保護を優先すべきとの声が高まる中、イスラエル軍は、人質解放に向けて具体的な行動をとっていることをアピールするなど、地上侵攻に向けた地ならしを進めています。
ただ、ハマスは、人質を“人間の盾”として利用しますから、イスラエル軍としては非常に難しいオペレーションを求められています。
■10月23日 「ハマス」ガザ地区で拘束の人質2人を解放
イスラム組織「ハマス」は23日、パレスチナ自治区のガザ地区で拘束されていた人質2人を解放したと発表しました。
イスラム組織「ハマス」は23日、ガザ地区で拘束されていた女性の人質2人を解放したと発表しました。「イスラエル側が引き渡しを拒否したものの、人道的な観点と健康上の理由から解放した」としていますが、イスラエル側は正式な声明を出していません。
2人はイスラエル人で、エジプトメディアは2人がガザ地区とエジプトの境界にあるラファ検問所から救急車で運ばれたと報じています。
一方、アメリカのバイデン大統領は23日、記者団から停戦について問われ「人質が解放されるべきだ」と述べました。
バイデン大統領「人質が解放されるべきだ。それから(停戦について)話すことができる」
こうした中、アメリカとイスラエルは、ガザ地区への人道支援を継続していく方針を確認しています。国連によりますと、23日も支援物資を積んだトラック20台がラファ検問所を通過して、ガザ地区側へと入りました。
国際NGOの関係者は人道支援の継続を歓迎した上で、停戦を呼びかけました。
エジプト拠点の国際NGO、サラ・バドルさん「ようやく支援が行き渡り始めてきていることに、ほっとしています。すぐに停戦に向けた合意に至ることを期待しています」
こうした中、イスラエル軍は、ガザ地区への攻撃を強めていて、保健省は、24時間で436人が死亡したと発表します。
イスラエル軍が地上侵攻への準備を進めるなか、ガザ地区の保健当局は、23日から24日にかけての空爆で704人が死亡したと発表しました。
イスラエル軍は、地上侵攻への準備を進めるなかで空爆を強化しているとみられ、23日から24日にかけて400か所以上を攻撃したということです。
ガザ地区の保健当局は24日、「24時間のうちに704人が死亡した」と発表しました。1日の死者数としては最も多いとしています。イスラエル軍は空爆を行う一方で、空から人質の情報提供を求めるビラをまきました。そのビラには、「身の安全を保証するので人質に関する情報を内密に教えてほしい」というメッセージが書かれてあり、ビラを手にした住民は破り捨てていました。
一方、人質となっていて解放されたイスラエル人女性が拘束時の状況について語りました。連れて行かれた地下トンネルはクモの巣のようで、大きなホールにはおよそ25人の人質が集められ、複数のグループに分けられ監視されていたということです。
ブリンケン国務長官は24日、国連の安全保障理事会に出席し、ガザ地区を支援するため「人道目的の一時停戦が検討されなくてはならない」と訴えました。この発言についてカービー戦略広報調整官は、通常の停戦とは異なり期間や規模は限定的になるとの認識を示しました。
また、安保理ではグテーレス事務総長が、イスラム組織ハマスによるテロを正当化することはできないとしつつ、「ハマスによる攻撃は理由なしに起きたものではない。パレスチナの人々は56年間、苦しい占領下に置かれてきた」と指摘しました。イスラエル側は猛反発し、国連大使はSNSでグテーレス事務総長の辞任を求めました。
一方、アメリカの有力政治サイト「アクシオス」は24日、イスラエルが人質解放の交渉を進めるために地上侵攻を数日間遅らせる意向だと報じました。
■10月24日 イスラエル軍 ハマスの上陸を阻止と発表…ハマス側は否定
イスラエル軍は24日、ハマスの戦闘員がガザ地区から海を経由してイスラエル側に上陸を試みたと発表しました。「上陸は阻止された」としていますが、ハマス側は「上陸に成功し、イスラエル軍と戦闘中」だと主張しています。
国連の安全保障理事会でグテーレス事務総長は、テロを正当化することはできないとした上で、「ハマスによる攻撃は理由なしに起きたものではない。パレスチナの人々は56年間、苦しい占領下に置かれてきた」と指摘しました。この発言にイスラエル側は猛反発し、国連大使がSNSでグテーレス事務総長の辞任を求めました。