【時系列でわかる③】イスラエル国防相「ガザ地区を内側から見るだろう」近く地上侵攻に踏み切る構え(16日から20日まで)
10月7日、中東パレスチナ自治区のイスラム組織「ハマス」が、イスラエルに向けてロケット弾などによる激しい攻撃を開始。イスラエル側も反撃し、武力衝突が激化しています。
19日現在、パレスチナ・ガザ地区のラファ検問所では、避難希望者の通過がまだ認められていません。
こうした中、イスラエルの国防相は、ガザ地区との境界付近に集結している兵士に対し、「ガザ地区を内側から見ることになるだろう」と述べ、近く地上侵攻に踏み切る構えを改めて示しました。
武力衝突をめぐる動きを、時系列でまとめます。
イスラエル軍によるガザへの爆撃は、15日も続いています。先ほど、イスラエル軍の報道官が会見し、ガザ住民の南部への退避を継続させるためとして、日本時間の15日午後7時まで退避ルートへの攻撃は行わないと述べました。
会見では、また、これまでに確認できている人質の数が126人だと明らかにしています。
イスラエル軍は、ガザ侵攻にあたって陸、海、空から広範にわたる攻撃を行うとしていて15日、新たに艦艇で海から攻撃する映像を公開しました。地上侵攻をともなう大規模攻撃にいつ踏みきるのか、緊迫した状況が続いています。
――ガザ地区の状況は、どうなっているのでしょうか?
ガザでは、今も空爆による死者が増え続けています。保健省は、これまでの死者は2349人で、ユニセフは子ども447人が死亡したとしています。
また、パレスチナを支援する国連機関は、ガザの住民は人道上危機的な状況に陥り、200万人が水不足に直面していると強く警告しています。
また先ほど、レバノン南部からイスラエル領内にロケット弾による攻撃があり、1人が死亡したとの情報も入ってきました。イスラム教シーア派組織ヒズボラが参戦することへの警戒も高まっています。
■10月15日 ガザ“退避期限”を過ぎ緊張高まる
イスラエル軍が、パレスチナ自治区ガザ地区への地上侵攻にいつ踏みきるのか。改めて設定された住民退避の期限はすでに経過していて、緊張が高まっています。
ガザへの爆撃が続く中、イスラエル軍の報道官が15日に会見し、ガザ住民の南部への退避を継続させるためとして、日本時間の15日午後7時まで、退避ルートへの攻撃は行わないと述べました。イスラエル軍は、ガザ侵攻にあたって陸、海、空から広範にわたる攻撃を行うとしていて、15日、新たに艦艇で海から攻撃する映像を公開しました。
地上侵攻をともなう大規模攻撃にいつ踏みきるのか、緊迫した状況が続いています。
ガザでは、イスラエル軍の空爆による死者が増え続け、保健省はこれまでの死者が2450人にのぼり、ユニセフは子ども447人が死亡したとしています。また、パレスチナを支援する国連機関は、ガザの住民は、人道上危機的な状況に陥り、200万人が水不足に直面していると強く警告しています。
一方、レバノン南部からイスラエル領内へのロケット弾による攻撃で、1人が死亡しました。イスラエル軍は、レバノン国境から4キロ以内を一般人の立ち入り禁止区域とするとともに、作戦の一環として、この地域とガザ南部でGPSサービスを意図的に妨害していると明らかにしました。イスラム教シーア派組織ヒズボラが参戦することへの警戒も高まっています。
こうした中、ロイター通信によりますと、アメリカ国務省はブリンケン国務長官が訪問先のエジプトから16日に再びイスラエルへ戻り、イスラエルの指導者とさらに協議すると明らかにしました。ぎりぎりの外交交渉も模索されています。
イスラエルの地下シェルターでは、さらに戦闘が激化すればより多くの避難者が出るおそれがあることから、支援物資の準備が急ピッチで進められています。
ボランティア「最も必要なのは赤ちゃんのためのものだ。食べ物、服、そしてこれから冬が始まるため、防寒具が必要だ」
集められた支援物資は、イスラム組織「ハマス」による攻撃で家を失うなどした住民らに優先的に届けられるということです。
エジプトでシシ大統領と会談したアメリカのブリンケン国務長官は、ガザとエジプトの間にあるラファ検問所が、再び開放されるとの見通しを明らかにしました。一方で、「民間人への危害を避けるために、あらゆる予防措置を講じる必要がある」と述べ、イスラエル側に対し改めてクギをさしています。
ブリンケン長官は16日に再びイスラエルに戻り、ネタニヤフ首相らと会談する予定で、こうした考えを直接、伝えるものとみられます。
アメリカの有力政治サイト「アクシオス」は15日、複数のイスラエル当局者の話として、アメリカとイスラエル両政府が、バイデン大統領が週内にイスラエルを訪問する可能性を探っていると報じました。
イスラエルのネタニヤフ首相が14日のバイデン大統領との電話会談で、訪問を打診したとしています。
■10月15日 ガザ南部へ水の供給再開 米大統領補佐官が明らかに
アメリカのサリバン大統領補佐官は15日CNNの番組で、ガザ南部への水の供給を再開したとイスラエル側から連絡を受けたと明らかにしました。
■10月15日 イスラエル首相「怪物を根絶やしにする準備できている」
イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザへの地上侵攻にいつ踏み切るのか緊張が高まる中、ネタニヤフ首相は15日「怪物を根絶やしにする準備はできている」と地上侵攻をあらためて示唆しました。
イスラエルのネタニヤフ首相は15日、ハマスによる大規模攻撃を受けて発足した緊急政府による初めての閣僚会議で「血に飢えた怪物を根絶やしにする準備はできている」と述べ、ガザへの大規模な地上侵攻をあらためて示唆しました。
死者はこれまでに、イスラエルで1400人ガザで2670人と、双方あわせて4000人を超えています。
イスラエルによるガザの封鎖で、物資の不足など人道上の懸念が広がる中、エジプトでシシ大統領と会談したアメリカのブリンケン国務長官は、ガザとエジプトの間にあるラファ検問所が、再び開放されるとの見通しを明らかにしました。
アメリカNBCは、日本時間午後3時にラファ検問所が一部開放され、人道支援も開始されると伝えています。
ブリンケン長官は「民間人への危害を避けるために、あらゆる予防措置を講じる必要がある」とも述べ、イスラエル側に対しあらためてクギをさしています。16日に再びイスラエルに戻りネタニヤフ首相らと会談する予定です。
こうした中、アメリカの有力政治サイト「アクシオス」は15日、複数のイスラエル当局者の話として、アメリカとイスラエル両政府が、バイデン大統領が週内にイスラエルを訪問する可能性を探っていると報じました。
イスラエルのネタニヤフ首相が14日のバイデン大統領との電話会談で、訪問を打診したとしています。
■10月15日 ガザ南部に60万人以上が避難
ガザ地区では、60万人以上が南部に避難し、人道上の懸念も高まっています。
イスラエル軍は、ガザ住民の南部への退避を継続させるためとして日本時間の15日午後7時まで退避ルートへの攻撃は行わないとしていました。すでにこの期限が過ぎロイター通信は北部の110万人の住民のうち60万人以上が南部に避難したと伝えています。
アメリカのサリバン大統領補佐官は15日、CNNの番組で、イスラエル政府から、ガザ南部への水の供給を再開したと連絡を受けたと明らかにしました。
一方、国連機関は16日、ガザ全域の病院の燃料の備蓄が、あと24時間程度しかもたないと明らかにしました。
「非常用発電機が停止すれば、何千人もの患者の命が危険にさらされる」と現地の窮状を訴えています。
イスラエルとイスラム組織「ハマス」との戦闘をめぐって、国連の安全保障理事会は、人道支援をめぐる決議案の採決を日本時間の17日午前7時に行うことを決めました。
イスラエル軍が、パレスチナ自治区ガザ地区への地上侵攻に踏み切る可能性が高まる中、ガザ地区と隣接するエジプトとの間の人道回廊の設置などをめぐって外交努力が続けられています。
イスラエル軍は、イスラム組織「ハマス」への報復攻撃を16日も続け、双方の死者は4100人を超えました。
イスラエル軍が近くパレスチナ自治区ガザ地区への地上侵攻に踏み切る可能性が高まる中、国連によりますと、ガザ地区では空爆などによって家を追われた人が、この1週間で人口のほぼ半分にあたる100万人以上に上ったということです。多くの人が学校などに避難していますが、衛生環境が悪く、食料や水などの物資も不足するなど人道危機が深刻化しています。
こうした中、ガザ地区とエジプトの間にある「ラファ検問所」には、ガザ地区からの脱出を求める多くの人が集まっています。
ロイター通信などは、ラファ検問所の再開に合わせ、イスラエルがガザ地区への攻撃を一時停止することで合意したと報じましたが、ネタニヤフ首相とハマス側の双方がこれを否定するなど情報が錯綜しています。
一方、アメリカのブリンケン国務長官は16日、イスラエルを再び訪問しました。ネタニヤフ首相とは個別会談後に、閣僚を交えて再び会談しました。国務省によりますと、会談でブリンケン氏は歴訪していた中東諸国首脳との協議内容を報告。人道支援をめぐり国連や中東諸国と緊密に連携することを確認しました。ラファ検問所の再開についても協議したとみられます。
イスラエルとイスラム組織「ハマス」との戦闘について、国連の安全保障理事会は、ロシアが提出した停戦を呼びかける決議案の採決を行いましたが、否決されました。
国連の安全保障理事会は16日、イスラエルとイスラム組織「ハマス」との戦闘をめぐって、ロシアが提出した人道的支援のために人質の解放や停戦を呼びかける決議案の採決を行いました。
採決の結果、十分な賛成票が集まらず、決議案は否決されました。
イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ地区への地上侵攻に踏み切る可能性が高まる中、アメリカ政府は、バイデン大統領が18日にイスラエルを訪問すると発表しました。
アメリカのブリンケン国務長官は訪問先のイスラエルで会見し、バイデン大統領が18日にイスラエルを訪問すると発表しました。イスラエルとの連帯を改めて打ち出すとともに、イランやヒズボラに対し軍事介入しないようけん制する狙いあります。また、必要な軍事支援やハマスに拘束された人質の解放をめぐり協議するほか、人道支援についても話し合うとしています。
バイデン大統領はイスラエル訪問後にヨルダンに移動し、アブドラ国王やエジプトのシシ大統領、パレスチナ自治政府のアッバス議長と会談するということです。
会見に先立ち、ブリンケン長官はネタニヤフ首相らと会談し、ガザ地区の住民への人道支援の実施に向けた計画を作成することで合意しました。
ガザ地区では人道危機が深刻化していて、ロイター通信などは、イスラエルが攻撃を一時停止し、ガザ地区とエジプトの間にあるラファ検問所を再開することで合意したと報じましたが、イスラエル側はこの報道を否定するなど情報が錯綜しています。
一方、ロシアのプーチン大統領もネタニヤフ首相と電話会談を行い、ロイター通信によりますと、イスラエルとパレスチナの対立を終わらせるため、支援する用意があると伝えたということです。これに対し、ネタニヤフ首相は、ハマスを壊滅させるまでガザ地区での作戦を続ける立場を明確にしたということです。
こうした中、ハマスは日本時間17日未明、拘束し人質としているイスラエル人女性だとする動画をSNSに公開しました。動画の中で女性は「手当てを受け、薬ももらっている。一刻も早く家族のもとへ帰してほしい」などと訴えているということで、イスラエルメディアは「ハマスのプロパガンダ」だと非難しています。
イスラエルに進出している日本企業87社が退避を完了したことがわかりました。
西村経産相は「現在、イスラエルには日本企業87社が進出しておりますけれども、今回の事案を受けて、メディアの方々を除いて、日本企業については、全員退避が完了している」と明らかにした上で、日本として、「引き続き在留邦人の安全確保に万全を期していきたい」と述べました。
また、イスラエル・ハマスの軍事衝突を受けて原油価格が上昇基調にあるとして、「物価高を含む日本経済への影響を、緊張感を持って注視する」と懸念を示しました。
引き続き、エネルギーの主要消費国などと連携して、産油国に増産などを働きかけていきたいとしています。
■日本時間10月17日未明 ハマス“人質”女性の動画公開
ハマスは拘束し人質としているイスラエル人女性だとする動画をSNSに公開しました。
動画の中で女性は「手当てを受け薬ももらっている。一刻も早く家族のもとへ、帰してほしい」などと訴えているということで、イスラエルメディアは「ハマスのプロパガンダ」だと非難しています。
イスラム組織「ハマス」の人質になっているとみられる女性の家族が17日午後、会見しました。
女性の母親は「ハマスが彼女に言わせたいことを語っているように見えた。世界の皆さん、どうか娘を取り戻してください」と訴えました。
イスラエル側は199人が人質となっているとしている一方、ハマスは、200人から250人を人質にとっていると主張しています。
■10月17日 ガザ地区の病院に“空爆”500人以上死亡か ハマス発表
イスラム組織「ハマス」側の発表によりますと17日、ガザ地区北部の病院が、イスラエル軍の空爆を受け、これまでに500人以上が死亡したということです。
これに対しイスラエル軍は、ガザ地区から発射されたロケット弾によるものだと反論していますが、この発表に先立って、エジプトやカタールなどアラブ諸国が非難声明を出したほか、カナダのトルドー首相も「病院を攻撃することは容認できない」と述べるなど、各国から非難の声があがっています。
■10月17日 独・イスラエル首脳会談
ドイツのショルツ首相が17日にイスラエルを訪問し、ネタニヤフ首相と会談しました。「ハマス」による大規模攻撃以降、初めての欧米諸国の首脳によるイスラエル訪問です。ショルツ首相は、ガザ地区への人道支援を迅速に実施するための協議を行ったとしています。
アメリカのバイデン大統領は、まもなくイスラエルに向けてワシントンを出発します。18日にネタニヤフ首相と会談する予定で、イスラエルへの連帯を改めて打ち出します。また、軍事支援や人質の解放、ガザ地区への人道支援についても話し合う見通しです。
ただ、その後、ヨルダンで会談予定だったパレスチナ自治政府のアッバス議長が、バイデン大統領との会談をキャンセルしたとAP通信が報じました。ガザ地区の病院への空爆を受け、パレスチナ自治区に戻り、対応にあたるためとみられます。バイデン大統領にとっては出発前から状況が厳しさを増しています。
■10月17日 米国防長官、米軍2000人に即応態勢を指示 中東への派遣に備え
アメリカのオースティン国防長官は17日、中東への派遣に備え、アメリカ軍およそ2000人に即応態勢を取るよう指示しました。
国防総省は、「中東の安全保障環境の変化に迅速に対応する」ためだとしつつも、「現時点ではこれらの部隊の展開は決定されていない」としています。
さらに東地中海に展開中の空母「ジェラルド・フォード」の展開延長も承認されました。
■日本時間10月18日 ジャーナリスト少なくとも17人が死亡
イスラエルとイスラム組織「ハマス」との衝突をめぐり、少なくとも17人のジャーナリストが死亡したことがわかりました。
ニューヨークに本部を置く、報道の自由を推進するNPO「ジャーナリスト保護委員会」によると、イスラエルとイスラム組織「ハマス」の衝突があった、今月7日から17日までの間に、少なくともジャーナリスト17人が死亡したということです。
このうち13人がパレスチナ人、3人がイスラエル人で、1人がレバノン人です。
ほかにも3人が行方不明、または拘束されているほか、8人がけがをしているということです。
ジャーナリスト保護委員会は、「この地域のジャーナリストは悲痛な紛争を取材するために、大きな犠牲を払っている。すべての当事者は彼らの安全を確保するための措置を講じなければならない」としています。
■10月17日 パレスチナ国連大使「即時停戦を要求」
ガザ地区の病院への攻撃を受けて、パレスチナの国連大使は17日、イスラエルを非難した上で、停戦を求めました。
パレスチナのマンスール国連大使は「私たちは、即時停戦を要求する。戦争の継続は、さらに多くのパレスチナ人の殺害を意味するからだ」と述べた上で、安保理を含む全ての国連機関に即時停戦を呼びかける努力を惜しまないと強調しました。
国連は17日、ガザ地区中部の避難所となっていた学校が攻撃を受け、少なくとも6人が死亡したと発表しました。国連は「言語道断な行為だ」と強く非難しています。
アメリカのバイデン大統領が大統領専用機エアフォース・ワンでイスラエルの最大都市テルアビブの空港に到着しました。
ホワイトハウス高官によると、バイデン大統領は18日にイスラエルのネタニヤフ首相と会談し、軍事支援や人質の解放、ガザ地区への人道支援などについて話し合います。
また、イスラム組織「ハマス」の攻撃による犠牲者の遺族や、ハマスによる人質の家族らと面会するということです。
一方、ホワイトハウスはバイデン大統領のワシントン出発直後、イスラエル訪問の後に予定していたヨルダン訪問を延期すると明らかにしました。
ヨルダンでは、パレスチナ自治政府のアッバス議長らと会談する予定でしたが、ホワイトハウス高官は、アッバス氏がガザ地区の病院への爆発を受けてパレスチナ自治区に戻る必要があったため、延期したと説明しています。
日本時間の18日夕方から始まったイスラエルのネタニヤフ首相との会談で、アメリカのバイデン大統領は、数百人が死亡したとされるガザ地区の病院での爆発について、「イスラエルによるものではないようだ」との見解を示しました。
この爆発について、イスラム組織ハマスはイスラエル側の空爆によるものだと主張する一方、イスラエル軍は関与を否定しています。
イスラエル軍は新たな映像を発表し、ガザ地区の過激派「イスラム聖戦」が発射したロケット弾が誤って直撃したものだと反論しています。
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会談ではまた、パレスチナ自治区ガザ地区にエジプトから人道支援の物資を搬入することで合意しました。
バイデン大統領は18日にイスラエルで演説し、エジプトからガザ地区への支援物資の搬入を要請し、イスラエルが同意したと明らかにしました。イスラエル首相府も、物資がハマス側に渡らないことを条件として、食料と水、医薬品のみ運び込みを許可すると発表しました。
バイデン大統領はその上で、ガザ地区とヨルダン川西岸へのパレスチナ人に対し1億ドル、およそ150億円の人道支援を行うと表明しました。
また、バイデン大統領はイスラエルとの連帯を改めて強調し、イランなどを念頭にイスラエルへの攻撃は「やめろ」と警告しました。また、イスラエルの防衛のため、週内に、アメリカ議会に対し「前例のない支援策を要請する」と述べ、巨額の予算を要求する考えを示しました。
■10月18日 病院爆発「イスラエル側の攻撃によるものではなかった」イスラエル軍
イスラエル軍は18日、パレスチナ自治区ガザ地区北部の病院で起きた爆発について、イスラエル側の攻撃によるものではなかったとの調査結果を発表しました。
イスラエル軍は18日、ガザ地区北部の病院で起きた爆発について、イスラエル側の攻撃によるものではなかったとの調査結果を、複数の根拠を示して発表しました。
その根拠として、当時イスラエル軍は陸海空を問わず攻撃をしていなかったこと、またイスラエルのレーダーシステムが、病院が爆発するタイミングで発射されたロケット弾を追跡していたとしていて、その弾道の分析から、ロケット弾が病院のすぐ近くで発射されたことが分かったなどとしています。
さらに、ガザ地区内でロケット弾が飛び、病院の敷地に落下する様子を映した映像が残されているとしています。
17日にガザ地区で起きた病院での爆発をめぐっては、ハマスがイスラエル軍による空爆によるものと主張する一方、イスラエル側は関与を否定していました。
■10月18日 プーチン大統領、病院爆発は「恐ろしい出来事」
中国の習近平国家主席と会談したロシアのプーチン大統領は、パレスチナ自治区ガザ地区での病院での爆発を「恐ろしい出来事」と述べるとともに、停戦仲介に前向きな姿勢をアピールしました。
中国メディアによりますと、会談で習主席は「ロシアとの友好は一時的なものではなく長期的なものだ」と述べ、長期化が予想されるアメリカとの対立を念頭に連携強化を呼びかけました。また、「ロシアの国家主権や安全、発展の利益を守ることを支持する」と述べ、ウクライナ侵攻で孤立が続くロシアに寄り添う姿勢を鮮明にしました。
一方、会談後に記者会見したプーチン大統領は、「中東情勢についても詳しく話し合った」と明らかにしました。
プーチン大統領「(ガザ地区の病院への爆発は)恐ろしい出来事だ。数百人が死亡し、数百人が負傷した。これは惨事だ。この被害が紛争を早く終わらせるきっかけとなることを願っている」
会見でプーチン大統領はこのように述べ、厳しく非難しました。ウクライナ侵攻をめぐり孤立を深めてきたプーチン大統領としては、仲介姿勢をアピールすることで国際社会への復帰を目指す狙いがあるとみられます。
国連の安全保障理事会は18日、イスラエルとイスラム組織「ハマス」との戦闘の一時停止を求めた決議案を採決しましたが、アメリカが拒否権を行使し否決されました。
国連の安全保障理事会は18日、イスラエルとイスラム組織「ハマス」との戦闘をめぐって、人道的支援のために戦闘の一時停止を求めるブラジルが提出した決議案の採決を行いました。
採決の結果、日本など12か国が賛成し、採決に必要な9か国以上の賛成は得られましたが、アメリカが拒否権を行使し決議案は否決されました。
アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は反対した理由について、「決議案にはイスラエルの自衛権について言及がなかったことに失望している」と指摘し、「バイデン大統領やブリンケン国務長官が行っている外交を展開させる必要がある」と説明しました。
パレスチナ自治区ガザ地区北部の病院で数百人が死亡したとされる爆発について、イスラエル軍はハマスと共闘する過激派組織によるロケット弾の誤射だと主張しています。
爆発についてガザ地区の保健省は、471人が死亡したと発表し、イスラム組織「ハマス」はイスラエル軍の空爆によるものだと主張しています。
一方、イスラエル軍は、ハマスと共闘する過激派組織「イスラム聖戦」による誤射だと主張しています。ロケット弾が病院のすぐ近くから発射されたとしているほか“誤射”を認める会話を傍受したとして、その音声を公開しました。
A氏「パレスチナのジハード組織から来たミサイルらしい」
B氏「なんだって? 我々のものなのか?」
A氏「そうみたいだ。ミサイルの破片が我々のもので、イスラエルのものとは違う」
アメリカのバイデン大統領も、イスラエルの関与を否定する見方を示しました。
バイデン大統領「ガザ地区のテロリストによるロケット弾の誤射のようだ」
ホワイトハウスもNNNの取材に対し、「情報収集を続けているが、現在の分析では、ガザ地区の病院での爆発はイスラエルに責任はない」としています。
パレスチナ自治区ガザ地区北部の病院で起きた爆発を受け、国連では安全保障理事会の緊急会合が開かれましたが、安保理として一致した対応は取れませんでした。
パレスチナ・マンスール国連大使「安保理が2日前に停戦を呼びかけ、適切に行動していれば、それによって何百人もの命が救われたはずだ」
パレスチナのマンスール国連大使は、イスラエルはガザ地区で毎日虐殺を繰り返していると主張し、一刻も早い停戦を呼びかけました。
イスラエル・エルダン国連大使「安保理としてハマスの残酷なテロ攻撃をまだ非難していない。本当に理解できない」
一方、イスラエルは、安保理はハマスによる攻撃をまず非難すべきだと主張し、両者の主張は平行線をたどりました。
理事国のロシアは、安保理が適切な対応を打ち出せなければ、国連総会の緊急特別会合の開催を要請すると述べました。
アメリカのワシントンでは、即時停戦を求めるデモ隊が連邦議会の建物に入りこみ、座り込みを行う事態に発展しました。
議員会館でアメリカメディアが中継をする場所では、吹き抜けの下、イスラエルに即時停戦を求める人たちが座り込みを行っています。
アメリカメディアによりますと、議会警察はこの座り込みでおよそ300人を逮捕しました。ガザ地区の病院での爆発を受け、即時停戦を求めるデモは、中東だけでなく欧米各国でも相次いでいます。
アメリカのバイデン大統領は18日、パレスチナ自治区ガザ地区への支援物資搬入のため、エジプトの間にあるラファ検問所を開通させることで、エジプトのシシ大統領と合意したと明らかにしました。
バイデン大統領は、エジプトのシシ大統領と電話会談し、ガザ地区に人道支援の物資を搬入するトラックについて、最大20台までラファ検問所を通過させることで合意しました。
ただ、20台では待機している全てのトラックを通すことはできないとして、今後「できる限り多くのトラックを通過させたい」としています。今回の支援物資の搬入については、物資がハマス側に渡らないことを条件に、イスラエルも同意しています。
ラファの検問所付近では、エジプトのNGO団体などが待機しています。
エジプトのNGO関係者 モーセン・アリ氏
「支援物資を運ぶトラックは120台ほどいます。攻撃がやんだらすぐに中に入れるよう待っているところです」「食料や水の支援を認めないのは戦争犯罪です」
ラファ検問所周辺の道路は補修する必要があり、開通は20日になる可能性もあります。
イスラエルの封鎖により、ガザ地区で人道危機が高まる中、エジプトとの間にあるラファ検問所が近く開通する見通しとなりました。
ラファの検問所付近ではエジプトのNGO団体などが待機しています。
エジプトのNGO関係者、モーセン・アリ氏「支援物資を運ぶトラックは120台ほどいます。攻撃がやんだら、すぐに中に入れるよう待っているところです。食料や水の支援を認めないのは戦争犯罪です」
一方、ガザ地区から避難を希望する人の通過は、まだ認められていません。国境なき医師団の白根麻衣子さんによると、ガザ地区南部には国際機関の関係者ら多くの外国人が、ガザ地区外への退避に向けて集まっているということです。
イスラエルの国防相は、19日、パレスチナ自治区のガザ地区との境界付近に集結している兵士に対し、「ガザ地区を内側から見ることになるだろう」と述べ、近く地上侵攻に踏み切る構えを改めて示しました。
イスラエルのガラント国防相は19日、ガザ地区との境界付近に集結している軍の部隊を訪問しました。ガラント国防相は、兵士らに対して、訓練を続けて準備を進めるよう指示した上で、「今は遠くから見ているガザ地区を、内側から見ることになるだろう」と述べ、近くガザ地区への地上侵攻に踏み切る構えを改めて示しました。
また、ネタニヤフ首相も、ガザ地区との境界近くにいる部隊を訪問し、「我々は全力で勝利する」と述べて、兵士らを鼓舞しました。
一方、イスラエル軍は、ガザ地区への空爆を続けていて、イスラム組織「ハマス」側は19日、ガザ地区北部の難民キャンプが空爆を受け、これまでに18人が死亡したと発表しました。
ガザ地区で人道危機が高まる中、ロイター通信によりますと、ガザ地区とエジプトとの境界沿いのラファ検問所周辺では、支援物資を載せたトラックが通行できるよう、道路の補修のための重機がガザ地区に送られているということです。早ければ、20日にもトラック20台がラファ検問所を通過する可能性がありますが、ガザ地区から避難を希望する人の通過が認められる見通しは立っていません。
こうした中、日本人らの退避の動きも続いています。防衛省によりますと、日本人60人、韓国人18人を含む83人を乗せた自衛隊の輸送機が日本時間の20日未明、イスラエルの最大都市、テルアビブを出発しました。隣国ヨルダンを経由し、21日未明に羽田空港に到着する見通しとなっています。
■10月19日 米国務省職員イスラエルへの軍事支援に抗議で辞任
アメリカ国務省で外国への武器売却の監督を担当する職員が、イスラエルへの軍事支援に抗議して辞任したことが明らかになりました。
この職員はSNSで18日、辞任したことを公表し、「イスラエルの対応に対するアメリカの支持は、イスラエルとパレスチナの人々の双方に、より深い苦しみをもたらすだけだと考えている。長期的にはアメリカの利益にならない」などと辞任の理由を説明しています。
アメリカのバイデン大統領は19日、ホワイトハウスの執務室から国民向けの演説を行い、イスラエルとウクライナへの支援に向けた緊急の予算を議会に要請すると表明しました。
バイデン大統領はロシアのプーチン大統領とイスラム組織「ハマス」を重ね合わせ、イスラエルとウクライナへの支援はアメリカの安全保障に不可欠だとして国民に理解を求めました。
バイデン大統領「ハマスとプーチン(大統領)は異なる脅威を代表しているが、共通点がある。両者は近隣の民主主義を完全に消滅しようとしている。イスラエルとウクライナ支援の成功が、アメリカの国家安全保障に不可欠だ」
バイデン大統領は「アメリカのリーダーシップが世界をまとめている」と強調し、「前例のない」緊急予算を議会に要請することに理解を求めました。
ガザ地区への攻撃で国際社会のイスラエルへの批判が高まっていることを念頭に、大統領はまた、「イスラエル政府が怒りに目を奪われないように警告する」と述べ、パレスチナ側に寄り添う姿勢も強調しました。
バイデン大統領は中東外交、そしてウクライナなど複数の事態対応を迫られる、まさに正念場を迎えています。