ガザ地区での生放送中に “同僚記者が死亡” 「いつか私たちも…」 「ガザ地区」北と南に分断 死者1万人超か
衝突が続く「ガザ地区」で、中継を行っていたパレスチナ放送の記者……生放送中に、同僚の記者が亡くなったことを知らされると、防弾チョッキとヘルメットを脱ぎ捨てました。カメラに向かって、強く訴えたのは――。
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記者
「彼は、襲撃で家族を失いました」
現地のパレスチナ放送が、パレスチナ自治区「ガザ地区」で生中継をしていたところ、記者の男性が、誰かに呼ばれたのか、画面の外へ移動しました。
すると…。
「モハメドが死んだ…」
記者
「本当か?」
カメラの前に出されたスマホには、倒れた男性の写真が――。
「ガザ地区」で取材をしていた同僚の記者が、イスラエル軍の空爆により亡くなった、との情報が入ったのです。
記者
「こんなニュースは、放送できない。 (同僚の)モハメドが亡くなったニュースなんて…」
“突然の訃報”に、スタジオにいるキャスターも感情を抑えきれません。
記者
「いつか私たちも殺されてしまう。防弾チョッキやヘルメットは、私たちを守ってはくれません」
そう言うと、記者は、身につけていた装備を脱ぎ始めました。
記者
「みんな、殺されるのを順番に待っているようなものだ。同僚のモハメドは、たった30分前まで一緒にいたのに、妻、息子、兄弟…何人もの家族とともに殺されたんだ」
今回の衝突では、多くのメディア関係者も犠牲になっています。
アメリカのNPOは、ジャーナリストなど、36人の死亡が確認されているとしています。(※「ジャーナリスト保護委員会」による)
また、「ガザ地区」の保健当局は6日、「ガザ地区」の死者が1万人を超えたと発表しました。(※6日発表「ガザ地区保健当局」による)
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6日、イスラエル軍は、イスラム組織「ハマス」の基地を制圧したとする映像を公開しました。「ガザ地区」での掃討作戦が続いています。
イスラエル軍は、ガザ市を取り囲むように進軍しています。南側の部隊は、海岸まで到達したものとみられていて、イスラエル軍は、「ガザ地区を北と南に分断した」と主張しています。(※5日発表「米・戦争研究所」による)
一方、イスラエルでは。
後閑駿一記者(イスラエル・ネティボト 5日)
「ここには、『ハマス』による襲撃を受けた車両などが置かれていまして、いまも検証作業が続けられています」
破壊された車両は……先月、「ハマス」の襲撃を受け260人以上が死亡した、音楽フェス会場周辺から集められたものです。多くが燃やされていて、原形をとどめていないものもありました。
音楽フェスの主催者は、車の中に隠れ、生き延びたと証言します。
音楽フェス主催者
「(車に隠れてから)10分後くらいで、外から銃撃音が聞こえてきて、みんなを撃っていたんです。とても恐ろしかったです」
多くの若者が犠牲となり、人質にとられた音楽フェス――。
イスラエル軍は、「ガザ地区」に240人以上の人質がいるとしています。
(11月6日放送『news zero』より)