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潜水艇「タイタン」残骸を引き揚げ 中に遺体とみられるものも… 耐圧室の形が大破の一因か

2023年6月29日 21:05

海底の「タイタニック号」を探索するツアー中に、水圧で押しつぶされたとみられる潜水艇「タイタン」の残骸が引き揚げられました。残骸の中には遺体とみられるものが含まれていたということです。一方、耐圧室の「筒状」の部分はみられませんでした。専門家は、これが事故の原因につながった可能性を指摘します。

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28日、雨の中、一隻の船がカナダ・ニューファンドランド島の港に入ってきました。積まれていたのは、円盤のような物体や壁の一部らしき板。すべて、海中で見つかった潜水艇「タイタン」の残骸です。無数のコードが絡み合った、機械のようなものも見られました。

これらの発見が、事故の原因解明につながるのでしょうか。

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水深4000メートルの海底に沈むタイタニック号を目指して5人が乗り、消息を絶った潜水艇「タイタン」。4日後、カナダの無人探査機がタイタニック号から約500メートルの地点に、潜水艇の5つの大きな残骸を発見しました。

アメリカ沿岸警備隊(22日 アメリカ・ボストン)
「これらの残骸は潜水艇の耐圧室が大破したことを意味している」

潜水艇は水圧で押しつぶされたとみられ、アメリカの沿岸警備隊は乗っていた5人全員が死亡したとみられると発表しました。

そして、消息不明から10日たち、潜水艇の残骸が陸にあがりました。残骸の中には、遺体とみられるものも含まれていたといいます。

専門家は「引き揚げられたのは、耐圧室の先頭部分。コードが絡み合った機械は“潜水艇の心臓”ともいえる耐圧室の制御システムの一部。そして、後部と台座の一部ではないか」と話します。

潜水艇に詳しい東海大学海洋学部 山田吉彦教授
「(耐圧室の)筒状の部分がないとなると、この筒状の部分に圧力がかかり壊れたと考えられます」

引き揚げた中に、耐圧室の「筒状」の部分はみられませんでした。専門家は、これが事故の原因につながった可能性を指摘します。

東海大学海洋学部 山田吉彦教授
「おおよその潜水艇は耐圧室はみんな球状なんです。タイタンは耐圧室が筒状になっていた。そこに圧力がかかりやすい」

球体であれば圧力を逃がしやすい一方、筒状だと、もろに圧力を受けやすいという違いがあるといいます。

東海大学海洋学部 山田吉彦教授
「耐圧室の胴の(筒状の)部分は見つからないんじゃないか。人が入っていたところが集中的にすごい圧力がかかり、船体が壊れた」

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現地メディアによると、乗っていた5人のうち、パキスタンの実業家と19歳の息子について、実業家の妻は「自分が乗るはずだったが息子に譲った」と語っています。

パキスタン実業家の妻
「私は息子に譲ったんです。あの子は本当に行きたかったから。本当に本当に彼らがいなくて寂しいです」

アメリカの沿岸警備隊は、引き揚げた残骸を調べ、原因究明を進めるとみられます。