ウクライナ侵攻から5か月 生活再建進める首都キーウ 仮設住宅は…
ロシアによるウクライナ侵攻から5か月。首都キーウ近郊では生活の再建が進む一方、戦争の長期化は住民に新たな課題を突きつけています。
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ウクライナの首都キーウ。この夏、ある商品の売れ行きに「異変」が起きていました。
記者
「キーウ市内の家電量販店では、暖房がすでに飛ぶように売れているということです」
9月には、早くも冷え込みが厳しくなってくるウクライナ。戦争の長期化への不安から、冬への備えとしてコンパクトな電気ストーブが人気だといいます。
客
「冬に向け電気ストーブを買います。ガスや燃料がどうなるか分からないので」
一日に20台売れることもあるということで、店の担当者も「夏にここまで売れるのは異常だ」と驚きを隠せません。
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一方、ロシア軍に一時占拠され、大きな被害をうけたキーウ近郊の村では、この「冬への備え」に新たな問題が生じていました。
記者
「ここのお家も壊れた家の前にプレハブの仮設住宅を建てて住んでいますね」
全壊した自宅のすぐ脇に支援団体が用意した仮設住宅。まずは入居できることを急いだため、壁は薄く、小さな部屋の中には暖房も設置されていません。
住民
「仮設住宅で冬を過ごすのは大変です。冬は越せないと思います」
ここに住む夫妻は、冬になったらキーウ市内の息子一家の元に行くことを考えているといいます。
また、自宅を再建しようとしている女性は、資金が足りず、工事が進められないといいます。
住民
「冬は無理です。一時的にしか住めません。どうすればいいのか…。子供たちが家にいればいいですが、軍に行ってますから」
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こうした中、避難者らの住宅をめぐっては別の課題も持ち上がっています。
キーウ市内では今、戦争の影響で、アパートなどの不動産価格が下落。さらに、多くの人が避難したため、空き部屋が侵攻前の3倍になるなど、物件が大量に余っています。
しかし、それでも市内の物件は避難者らには高価で、手が届かないといいます。
不動産店 担当者
「避難者はキーウ近郊で安くアパートを借りて、仕事を探します。でも仕事はキーウ市内にしかないんです」
戦争が長期化する中、冬に向けた住宅をめぐる課題は山積しています。