バイデン大統領「現実の脅威だ」ロシアの“化学兵器”使用…可能性は
ゼレンスキー大統領も懸念を示す、ロシア軍によるサリンなどの化学兵器を使った攻撃。実際に使われる可能性はあるのでしょうか。専門家は「最前線でロシア軍が非常に使いたい兵器」だと指摘。アメリカ・バイデン大統領も「現実の脅威だ」と懸念を示しました。
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ポーランドからベラルーシに向かう国境では、19日、トラックが道路を埋め尽くしていました。40キロにわたり、車が立ち往生しているといいます。
列の先にあったのは、デモ隊です。食料や薬などが、ベラルーシを通じ、EU(=ヨーロッパ連合)側からロシアに流れるのを止めようとしていたのです。
しびれをきらし、「誰がこのデモの首謀者なんだ!」とデモ隊に詰め寄る運転手の姿も。警察に取り囲まれ、最後は拘束されました。
その影響なのか、モスクワ近郊のスーパーでは「砂糖」「一人一袋まで」と書かれたメモがありました。その棚にすでに品物はなく、制裁が市民生活に影を落としています。
住民
「物価があがっています。砂糖や塩が特に問題です」
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フランス・パリで22日、ロシア国営テレビの元キャスター、ジャンナ・アガラコワさんが抗議の声を上げました。
ジャンナ・アガラコワさん
「辞めるのは、戦争が始まったからです」
ロシア国営テレビでは、14日、生放送中に職員が反戦を訴えていました。
アガラコワさんも、「政権に都合のよいプロパガンダを伝えるために利用されている」と批判し、辞職したことを明らかにしました。
ジャンナ・アガラコワさん
「ニュースではたった一人の話しか流れないという事態に陥っています。私たちの番組の中に本当のロシアはありません」
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そのロシアはどう動くのでしょうか。懸念されるのが、生物・化学兵器の使用です。
国連安保理は22日、非公開の緊急会合を開き、アメリカやイギリスから「化学兵器使用の前兆がある」と懸念の声があがりました。
軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏も、サリンや神経ガスなどの化学兵器が使われる可能性が高まっていると指摘します。
黒井文太郎氏
「塹壕の中に隠れているとか、陣地に隠れている、あるいは移動している相手をその一帯をまとめて攻撃できるということなので、戦いの最前線でロシア軍が非常に使いたい兵器ですね」
24日から開かれるNATO(=北大西洋条約機構)の緊急首脳会議でも、化学兵器への対応について協議する可能性があります。
日本時間23日午後10時すぎ、首脳会議に向かうアメリカ・バイデン大統領は、記者から「化学兵器使用への懸念は?」と問われると、「それは現実の脅威だと思う」と述べ、化学兵器を使った戦いが現実の脅威になっているとの懸念を示しました。