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2020年9月3日 17:13

北方領土で進むロシア化…存在感薄まる日本

3日、ロシアでは、「第二次世界大戦で日本に勝利した日」と
されています。北方領土返還へ進展がみられない中、島では、
着々と「ロシア化」が進められています。

    ◇

日本固有の領土である北方領土の国後島。ロシアで「第二次世界大戦終結の日」とされる3日、島では、「日本に勝利したことを記念するセレモニー」が開かれました。そこで聞こえてきたのは

参加した住民「日本との間には領土問題は一切ありません」

国後島がロシア領であると主張する声。また、会場では、北海道東部も射程に入る新型の地対艦ミサイルを初めて公開。ロシアは北方領土を「軍事の上で重要な場所」と位置づけて軍備の強化を進めています。

さらに国後島では今、ロシアによるインフラの整備が着々と進んでいます。先月5日に開所したのは救難救助センター。国後島の気象を観測するシステムなどが、ロシア当局によって整備されました。入口のプレートには…

「ロシア国旗を一度でも掲げた場所ではそれを降ろしてはならない」

北方領土がロシア領であると強調されていました。

ロシアは、ことし7月に憲法を改正。

プーチン大統領「この憲法改正はいかなる誇張もなく国民の意思で施行される」

新たに「領土の一部をほかの国に譲り渡すことを禁止する」という条項が盛り込まれました。改正された憲法には、「近隣国と国境線を確定する交渉は例外とする」との規定が付けられましたが、ロシア外務省はこの規定は「日本との平和条約の交渉には適用されない」と明言。平和条約の交渉に北方領土の問題は含まれていないとする主張を繰り返しました。

国後島ではロシアの通信会社によってネット環境の整備が進み、通信速度が以前の2倍になったといいます。

島民「いいインターネット環境です。電波は良くつながっています」

着々と進むロシア化。その一方で、薄まっているのは、日本の存在感です。

4年前、日本政府が北方領土問題の進展のために打ち出したのが、共同経済活動でした。

安倍首相(日露首脳会談後 2016年)「日露両国の特別な制度のもとでの共同経済活動、そして平和条約の問題について率直かつ非常に突っ込んだ議論を行うことができた」

また、2018年11月には両国は歯舞群島と色丹島の2島引き渡しを明記した「日ソ共同宣言」を基礎に、平和条約交渉を加速させることでも合意。領土問題解決の糸口が見つかるのではないかとの期待が高まりました。進展はあったのでしょうか。

■開発が遅れてきた色丹島は

北方領土の中でも、開発が遅れてきた色丹島。かつては「日本の支援がなければ開発は進まないだろう」と言われていました。しかし、去年9月に完成したのは、プーチン大統領がビデオ中継で開所式に臨んだ、ロシア最大級という水産加工工場。

日本円で60億円余りをかけて作られたこの工場は月に2万2000トンの魚を処理し、450人の新たな雇用を生みだしたということです。

従業員「ここを気に入っています。条件もよく、給料もいいので」

工場の機械設備はドイツなどヨーロッパ諸国から最新のものを導入。企業幹部は「もはや日本からの投資は必要ない」と話しています。

さらに、開発により経済活動が進んだことを受けて、先月には新たに2つ目の銀行がオープン。色丹島はロシアにとって、重要な投資や開発の対象になっていました。

これまで安倍首相の親ロシア的外交で目立った進展がなかった北方領土問題。新しいリーダーがどのように向き合うのか注目されます。