新型コロナウイルスに感染して入院中のトランプ大統領が、現地時間の４日夕方、突然病院からサプライズ外出し、支持者の前に現れました。どのような容体なのか、最新情報をお伝えします。
　
■トランプ大統領の容体は？
　
新型コロナウイルスに感染して入院中のトランプ大統領ですが、現地時間の４日夕方、ツイッターに投稿した動画で次のように述べました。　
　
トランプ大統領　
「ウォルター・リード陸軍病院は素晴らしい病院だ。彼らの対応は素晴らしく、皆に感謝する。そしてちょっとビックリさせたいことがある。それは病院の外にいる愛国者らへ向けてだ」　
　
ツイッターでサプライズを予告したトランプ大統領はこのあと、入院先の医療センター前の道に車列で登場し、手を振ったり、拍手をするなど、集まった支持者の声援に応じたのです。トランプ大統領は紺色のマスクをつけていました　。
さらに、映像でははっきり見えませんでしたが、親指を立てたポーズもしていました。アメリカではＧＯＯＤという意味で、回復を目一杯アピールしていました。　
　
　
■パフォーマンス戦略と地元メディアの反応
トランプ大統領は入院から２日目で、まだ安静が必要と言われている段階です。そんな中、車で外出し政治的なパフォーマンスを行ったことに対して地元メディアは、　
　
「車内にいた警護隊員を命の危険にさらした」　
「無責任さにあ然とする」　
　
などと批判しています。　
映像からは、運転手がマスクや防護服のようなものを身につけていることが分かります。　
　
このような発信から、トランプ氏側の焦りや戦略がすけて見えます。　
上智大学・前嶋和弘教授は、トランプ大統領の発信の狙いについて、「つくりこみすぎない程度に、自らの顔を出し続ける戦略」ではないかと指摘します。　
　
４日朝の動画を見ると、病院の中なのに執務室のようにあつらえていて、机の上のファイルを見ると、ホワイトハウスのマークのようなものが付いています。執務をちゃんとやっているというアピールしています。　
一方で、ネクタイはしていません。ネクタイをするとやりすぎに見えるため、「つくりこみすぎず顔をだす戦略」を取っているという分析です。　
　
というのも、大統領選で今トランプ氏は劣勢です。逆転する切り札はトランプ氏自身の顔であり、激戦区に乗り込むことでしたが、それができないため、顔を出し続けるという戦略ではないかといいます。　
　
　
■トランプ大統領の感染経緯は？
現在の容体について４日、医師団が会見を開きました。　
「早ければ明日（５日）にも退院してホワイトハウスに戻ることを期待している」と発言しています。　
今は現地時間５日の午前３時くらいですので、退院するのかどうか注目されています。　
　
一方、トランプ大統領は２日の朝にホワイトハウスで高熱を出し、血中酸素濃度が低下したため、酸素吸入を行っていたことも医師団は明らかにしています。　
　
トランプ大統領の感染発覚の経緯ですが、そもそも発熱の症状があり、側近の陽性を受けて１０月１日には検査を受けていました。そして、２日未明ツイッターに陽性だったと投稿。その夜に入院しています。３日には入院先から動画を投稿しています。　
　
この時にトランプ大統領は、
「ここに来たときあまり具合はよくなかった。今はずいぶん回復した。この数日間が正念場だ」としています。　
　
そして入院から丸２日もたっていない４日に、病院からサプライズで、車で外出したわけです。　
　
トランプ氏がどこで感染したのか、まだ正確には分かっていませんが、大統領の周りでは最近３件の感染が確認されています。　
　
１つ目は、大統領顧問ヒックス氏の感染。１０月１日に感染が確認されました。この日、大統領の支持者集会に同行し、移動は大統領の専用機に同乗していました。　
　
２つ目は、大統領の感染確認の２日前に行われた討論会に関するものです。現地メディアによると、討論会の準備をしていた４人の感染が確認されました。　
　
そして３つ目は、感染確認の５日前。ホワイトハウスで行われた新しい連邦最高裁の判事・バレット氏の指名演説で８人の感染が確認され、クラスターが発生しています。　
　
その時の写真を見ると、参加者は肩が触れ合うくらいの距離で座っています。さらに、ほとんどの人がマスクをしていません。この中には大統領を含め、６人の感染者が写っています。　
また、感染が確認された参加者が、握手やハグをしたり、耳打ちをしたりと、かなり接触している様子がうかがえます。
　
　
■医師団の見解、治療法は？
医師団によるとトランプ大統領は、今は熱もなく呼吸も問題ないといいます。　では、どのような治療を行っているのでしょうか。
　
抗ウイルス薬「レムデシビル」の投与を２回受けたということです。「レムデシビル」は、副作用として肝機能障害などの報告がありますが、今のところトランプ大統領の肝臓や腎臓の機能に異常はないということです。　
　
また、抗炎症薬の「デキサメタゾン」の投与も開始したということです。この薬はイギリスで重症患者の死亡率を下げたとの報告があります。　
　
さらに、抗体カクテルと呼ばれる２種類の抗体を組み合わせた、未承認の医薬品の投与も行われているといいます。　
最新の良いものを全部使っているという印象ですが、情報が錯綜しているため、本当のところはまだ分からない状況です。　
　
これだけ最新の薬で回復した場合、トランプ氏は大統領選でアピールする好材料になると言えます。一方で、国の中枢であるホワイトハウスでこれだけ感染者を出したというのは、リーダーとしての危機管理能力が問われることも事実です。　


（２０２０年１０月５日　１６時ごろ放送　ｎｅｗｓ　ｅｖｅｒｙ．「ナゼナニっ？」より）