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医療現場“疲労困憊”欧州「第二波」の実態

2020年10月16日 22:24
医療現場“疲労困憊”欧州「第二波」の実態

日本では10月から入国制限が一部緩和され、海外との往来が増えてきています。そんな中、ヨーロッパでは感染が急拡大しています。何が起きているのか、私たちの教訓としても見ていきたいと思います。 
 
■ヨーロッパで第二波 15日には過去最多
 
感染の再拡大は、特にヨーロッパで急速に広がっています。 ヨーロッパの新規感染者をみると、春頃に最初の山が来て、一旦落ち着きましたが、9月あたりから 再び増え始め、「第二波」になっています。15日では過去最多になりました。 
 
■1日の新規感染者3万人の仏 2度目の非常事態宣言
 
こうした状況を受けて、各国は再び規制を強化し始めています。 
 
特に深刻なのがフランスです。 15日には1日の新規感染者が3万人を超え、過去最多を更新しました。ちなみに日本の全国の感染者は15日、1日で708人でした。ただフランスの人口は日本のおよそ半分なので、比べるとフランスがどれだけ多いかがわかります。 
 
こうした状況を受けて、フランス政府は2度目の非常事態を宣言しました。生活が再び制限されることになります。 たとえば、これまでパリにあるカフェでは、夜中までお酒を飲みながら談笑する人々の姿が見られました。しかし、パリ首都圏などでは今週末から少なくとも4週間、午後9時から午前6時まで外出が禁止されることになりました。 
 
街の人はこう話します。 
男性「『家を出て、働き、寝る』の繰り返し。これは自由の危機だ」 
女性「外出できないなら、家で集まります。そうしないと(冬眠する)リスのよう」 
 
仕事や急病などの理由以外で夜間外出禁止の違反を繰り返すなど、悪質な場合は、日本円で最大で約46万円の罰金と禁固刑が科されます。 
 
■医療現場は疲労困憊 燃え尽き症候群の拡大懸念
 
こうした中、フランスでは医療現場でも深刻な状況になっています。今週、医療従事者が労働環境の改善を求めるデモ行進を行いました。さらに看護師約6万人を対象とした調査では「疲労困憊している」との回答が半数以上になりました。 「燃え尽き症候群」の拡大が懸念されています。 
 
■英 「屋内で同居する家族以外と会う事」が禁止へ
 
イギリスでも再び規制が始まります。イギリスも10月4日、1日で過去最多の2万人を超えるなど感染者が急増しています。 
 
ロンドンでは警戒レベルが3段階中一番低かったのが、17日以降、一段階上がります。 これまでは飲食店を午後10時閉店としていましたが、これに加えて新たに「屋内で同居する家族以外と会うこと」が禁止されます。 
 
具体的には、 
(1)友達を家に招く 
(2)レストランで友人と食事 
(3)友人とパブでビール 
(4)子どもが放課後、友達の家に遊びに行く 
 
これらすべてが禁止されることとなります。 
 
■死亡率が格段に低い3つの理由
 
ヨーロッパの「第二波」には、ある特徴がみられます。感染者は急増している一方で、死亡率は第一波の時と比べて格段に低いといえます。 
 
なぜなのか? 大きくわけて3つの理由が考えられます。 
 
(1)PCR検査の数が増えている 
たとえばイギリスでは、第一波のピーク時に比べて、検査数は1日3万件から30万件に増加しました。フランスでは、3月には検査対象は重症者に限られていて、無症状者や軽症者は感染者には含まれていませんでした。今は希望者全員が検査できるようになりました。 分母が増えたので「死亡率」が下がったということです。 
 
(2)ハイリスクな高齢者の感染が減った 
第一波では高齢者施設でクラスターが発生しました。教訓として、高齢者施設などで検査を徹底しました。高齢者自身もリスクを認識し、他人との接触を極力避けています。 
 
(3)医療体制の向上 
第一波を教訓に、患者を早期に発見し、早めの投薬と処置しました。
 
こうした理由から、感染者数は拡大しても死者数は低く抑えられているのが実状です。 
 
ヨーロッパで感染が再び急拡大している背景には、一旦規制が緩んだ際、それまでの反動でマスクもつけず大勢で集まる人が多くいたことも一因とみられています。 
 
感染を抑えつつ経済を回していくためには、感染対策をしっかり意識しながら日常生活を取り戻すことが大切です。 
 
 (2020年10月16日 16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)