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米で注目 車に生活拠点…バンライフとは?

2020年12月12日 20:47

新型コロナウイルスの感染拡大が続くアメリカで、車を生活の拠点に旅をするように暮らす「バンライフ」が注目されています。新たなライフスタイルが人々を惹きつけるワケとは。
(取材:NNNニューヨーク支局 上遠野将人)


◆バンで移動し暮らす女性…失業から“バンライフ”へ

ニューヨーク郊外の自然豊かな公園の中に止まる1台の赤いバン。車内でくつろぐ女性がこのバンの持ち主、エミリー・アンダーヒルさん(25)です。

以前はクルーズ船の添乗員として働いていましたが、新型コロナの影響で失業、7月からこのバンで移動しながら暮らしています。これまでに24の州を旅したといいます。

エミリーさん「ニューヨークなどの大都市に住んで家賃を払うより、旅をしながら生活する方がずっと安いため、この生活に切り替えました」

およそ30万円の中古のバンを失業保険金で購入し、ベッドや棚を積み込んで最低限生活できるような環境をつくりあげました。


◆“自由気まま”なバンライフ、生計は?

自由気ままに見えるバンライフですが、どのように生計を立てているのでしょうか。

この日、エミリーさんが向かった先は近くのリサイクルショップ。実はエミリーさん、バンライフを始めるにあたり自らオンラインショップを立ち上げ、各地で仕入れたビンテージの服やアクセサリーを販売して収入を得ているのです。

エミリーさん「郵便局はどこにでもあるので、注文が入ったら簡単に商品を詰めて発送することができます。そうすれば働く時間を柔軟に設定できます」

バンはエミリーさんの仕事場でもあるのです。車内には流しやコンロが備え付けられていて、自炊も可能です。


◆コロナ禍で魅力増すバンライフ

新型コロナの感染が心配な今、バンライフの魅力はさらに増す、といいます。

エミリーさん「コロナ禍のバンライフは間違いなく安全だと思います。どの生活よりも、しっかり距離をとることができます。感染状況や規制に合わせて移動できるのは便利です。そこで状況が悪化した場合、別の場所に移動できますから」

ある民間企業が行った最新の調査では、「新型コロナの影響でバンライフに関心を持つようになった」と答えた人は52%にのぼります。

実際に街の人に聞いてみると──

学生「バンライフでの全米横断について、彼女と話をしています」

私たちは、居住空間を備えた車を販売する会社を訪ねました。

バン販売業者「現在、バンの需要が非常に高く、生産能力を超えそうな勢いです」

この店の売り上げは去年よりおよそ25%増えていて、現在、ほぼ全ての車両が完売しているということです。


◆バンライフ、いいことばかりでもない

一方で、バンライフはいいことばかりでもありません。

エミリーさん「毎晩カーテンをしっかり閉め、全てのドアのロックを確認します。そして秘密兵器は、このクマ用の撃退スプレーです」

防犯対策には細心の注意を払います。

他にも、洗い物で汚れた水やゴミの処理、シャワー施設探しなど苦労も多いこの暮らし。それでもエミリーさんは、今後もバンライフを続けていきたいといいます。

エミリーさん「コロナウイルスからの自由、社会の圧力からの自由、自分自身でいられる自由が魅力です。必要なのは学び、成長したいという意思だけです」

新型コロナをきっかけに、新たな価値観やライフスタイルを模索する動きも生まれています。