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韓国 児童性犯罪、元受刑者の出所で混乱

2020年12月16日 17:15

12年前、残虐な手口で女子児童を性的暴行し、韓国社会を震撼(しんかん)させた事件。先週、服役していた元受刑者が刑期を終えて出所しました。元受刑者の自宅周辺には、出所に反対する人々やユーチューバーらが集まって騒ぎになり、児童性犯罪をめぐる議論が再び過熱しています。

事件は、2008年12月、ソウル近郊の都市で起きました。

当時50代だった男が、当時8歳だった女子児童を教会のトイレに連れ込み、性的暴行を加えたものです。児童は、一命を取りとめたものの、女性としての機能の多くを失うなどの障害を負いました。

事件で逮捕・起訴された男は酒に酔っていたと主張したのに対し、検察側は無期懲役を求刑。裁判所は、男が酒に酔って心神耗弱だったとして懲役12年の実刑を言い渡し、男は刑務所に服役しました。

韓国メディアによりますと、今月12日、現在60代の男が刑期を終え出所すると、刑務所や男の自宅周辺には出所に反対する人々やユーチューバーらが集まり、映像を配信したり男を乗せた車を蹴ったりするなど騒ぎになったということです。

事件をめぐっては、当時、男に強姦など17件の前科があったにもかかわらず、裁判所が酒による心神耗弱を認めて有期刑としたことに世論が反発。その後、韓国の国会では児童性犯罪者の出所後、一定期間、保護施設に収容する法案が議論されましたが、人権団体などの反発で成立しませんでした。

今回、裁判所は、検察側の要請で元受刑者の男に今後7年間、位置情報を追跡できる電子足輪を装着し、一定量以上の飲酒や夜間の外出なども禁止する決定を出しました。さらに地元当局は、防犯カメラの増設や人員の配備で監視体制を強化するとしています。

しかし、韓国メディアからは児童性犯罪についての法律の不備などを再び指摘する声も出るなど、議論が過熱しています。