ロシア“汚い爆弾”吹聴――米英の軍トップに電話「ウクライナが使う」ナゼ? 核の脅し警戒も…「対話のチャンネル維持」合意
有働由美子キャスター
「世界で取りざたされている『汚い爆弾』。そのイラストでは、爆弾が爆発し、そこに詰められていた放射性物質がまき散らされます。人が車から降りて建物に逃げ込んでいます」
「これはアメリカの疾病対策センターが示したもので、もしこういう攻撃があったら、屋内に避難して外に出ないようにと呼びかけているものです」
「この『汚い爆弾』を今、ウクライナが使う可能性があると、プーチン大統領の側近らが相次いで発言しています。ウクライナが使うなど、本当でしょうか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「そうは思えないですが…。核爆弾は、核分裂で恐ろしい破壊力を生み出します。それとは違い、放射能を拡散して人々を恐怖に陥れる爆弾です」
「今、ロシアの国防省や軍のトップが連日、アメリカやイギリスなどの国防長官や軍トップなどカウンターパートに電話して、『ウクライナが汚い爆弾を使う可能性がある』と言って回っています。欧米側は『ロシアの見え透いたウソだ』と言っています」
有働キャスター
「では、ロシアはなぜそんなことを言うのでしょうか?」
小野委員
「本当はロシア自身が、ウクライナに打撃を与えて戦況を打開するために、使おうとしているのではないか。ロシアが使っておいて、ウクライナがやったことにしようとしているのではないか。ロシアの自作自演という見方があります」
「別の見方もあります。アメリカメディアで専門家は『ウクライナがロシアに対して放射能攻撃をしてきたといって、ロシアが核兵器による報復をちらつかせるかもしれない』と指摘しています」
有働キャスター
「結局、核による脅しですか…。アメリカとロシアの軍のトップが話し合ったりする中で、そういう話も出てきているのでしょうか?」
小野委員
「何を話したのか気になるところです。今回、軍のトップ同士が電話で話して、『ボタンの掛け違いがないよう、対話のチャンネルを維持しよう』と合意をしました。これはとても大事です」
「現代軍事戦略に詳しい、防衛省・防衛研究所の高橋杉雄室長は『国は違っても軍人同士は共通言語があり、相手の意思が正しく伝わりやすい。特に核に関しては正確に伝える必要があり、軍人同士のコミュニケーションが重要だ』と話しています」
有働キャスター
「軍部同士の話し合いがあることを、どう見ますか?」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「幹部同士の連絡系統があることはそれほど驚かないことかな、と思います。戦争はお互いの戦力がゼロになるまで戦うわけではなく、講和もしないといけないし、対話で終わらない戦争はありません」
「ただ、こういう対話は開戦からずっと、ある程度はされてきているはずです。今回の場合はそういうところというよりは、こうやって見せかけて何かが漏れてくるということは、この中に1つくらいは何か真実や、今後やられる行動があるのかな、と思いました」
有働キャスター
「その真実が何か、というところだと思います。軍同士のコミュニケーションを、なんとか戦争を終わらせる方向に使ってくれないかと思います」
(10月25日『news zero』より)