トランプ氏“サプライズ登場”に支持者熱狂 共和党大統領候補に正式指名
アメリカのトランプ前大統領が右耳に大きなガーゼをあてた姿で、銃撃後、初めて公の場に姿を見せました。その場所は、自らが正式な大統領候補となった共和党大会です。サプライズの登場で力強い指導者をアピールしました。
日本時間16日午前3時から始まった次期アメリカ大統領候補を決める共和党全国大会。
記者
「投票が終了しました。トランプ前大統領が大統領候補に正式に決定しました」
それは、終了間際のことでした。
記者
「スクリーン! 会場のスクリーンにトランプ前大統領の姿が映し出されました」
「トランプ前大統領の姿がモニターに映し出されました。右耳にはガーゼのような物が見て取れます」
銃撃事件後、公の場に初めて姿を現したトランプ氏。負傷した右耳を指さし、笑顔を見せました。“主役”のサプライズ登場に会場が盛り上がります。
そして…
アナウンス
「皆様、“次期大統領”ドナルド・トランプです」
レッドカーペットを歩き会場へ。
流れている曲はトランプ氏のテーマソング「God Bless the U.S.A.(神よ、アメリカに祝福を)」です。銃撃を生き延びたトランプ氏は支持者にとって“神がかり”的な存在。会場に姿を現すと、感極まったのか、涙を流す支持者までいました。
トランプ氏の支持者
「神様のお導きでトランプ氏は救われたと信じています」
「(トランプ氏を)愛しています。彼のことを誇りに思います」
自身の“相棒”となる副大統領候補も正式に決まりました。39歳のバンス上院議員。バイデン大統領が、「トランプ氏のクローンだ」と表現した人物です。
過去、トランプ氏の演説にも足を運んだこともあるバンス氏。大統領選の激戦州・中西部のオハイオ州生まれで、貧困に苦しむ白人労働者の本がベストセラーに。その支持を固める狙いがあるとみられます。
サプライズ登場後、何も語らずに会場をあとにしたトランプ氏。ただ、周囲にこう話しているといいます。
トランプ前大統領(アメリカメディアによる)
「この歴史的瞬間を生かし、国を1つにまとめたい」
党大会最終日(日本時間19日)に予定されている演説内容が注目されます。
今回の選挙戦に大きな影響を及ぼすこととなった銃撃事件。トランプ氏の命を狙ったとして捜査が進められているのが、20歳のトーマス・クルックス容疑者です。
銃撃直後、シークレットサービスによって射殺されましたが、事件直前の行動が徐々に明らかになってきました。
銃撃直前に撮影された映像には、建物の屋根の上を姿勢を低くしてのぼっているクルックス容疑者が映っていました。CNNよると、この前日にクルックス容疑者は所属していた地元の射撃場を訪れていたといいます。事件前日に練習していたのでしょうか。
使用したとみられるのは、父親が購入していた「AR15型」という半自動小銃。殺傷力が高く、過去の銃乱射事件で何度も使われたことがあります。
どれほどの威力なのか、かつて取材した際には、5センチほどのコンクリートを貫通するほどの威力がありました。「バンプストック」と呼ばれる装置をつけると、1秒間に10発連射することも可能な銃です。
クルックス容疑者は、事件の数時間前に弾薬50発を地元の銃販売店で購入。その後、1時間ほどかけて車で演説会場に向かい、銃撃したとみられています。
クルックス容疑者はなぜトランプ氏を狙ったのか。その動機はいまだ明らかになっていません。FBI(=連邦捜査局)は、容疑者の携帯電話の履歴を調べるなどして動機の解明を急いでいます。