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ナゼ?…中国が米政権発足にみせた2つの顔

2021年1月21日 22:19
ナゼ?…中国が米政権発足にみせた2つの顔

トランプ氏の退任直後、中国はこれまでの鬱憤(うっぷん)を晴らすかのようにトランプ前政権の高官への制裁を発表した。そしてバイデン新政権に向けては一転、秋波を送った。バイデン政権内からは発足前から中国への圧力を維持する声が相次いだが、中国はどう向き合おうとしているのか。


■トランプ氏退任5分後 異例の制裁

トランプ前大統領が正式に退任したのは日本時間21日午前2時。その5分後、バイデン大統領の就任演説がまさに行われている最中に制裁は発表された。

対象はトランプ政権の国務長官だったポンペオ氏、大統領補佐官を務めたオブライエン氏やボルトン氏、さらにトランプ政権を離れて久しい元側近のバノン氏まで…トランプ政権の高官だった28人。その家族も含め、中国本土や香港などに入ることを禁じ、経済活動も制限するというものだ。

制裁の理由として書かれている言葉も激しい。「中国への偏見や恨みから数年にわたって常軌を逸した行動で中国の利益や人々の感情を傷つけ米中関係を著しく破壊した」

中国はこれまで、トランプ氏本人だけは真っ正面から批判することは避けてきた。しかし、退任の直前には国営新華社通信もツイッターで「いなくなってせいせいする!ドナルド・トランプ!」と英語で投稿した。

国内の世論に対し「弱腰」は見せられない。さらに中国の指導部がここで一旦対米関係をリセットしたいと考えているなら「悪いのはアメリカではなく、トランプ政権だった」と強く印象づける必要がある。


■中国外務省「大統領就任式の様子に感動した」

21日の外務省報道官の会見。これまでトランプ支持者による連邦議会議事堂占拠事件などを強烈に皮肉ってきた華春瑩報道官だが、この日は一転、ワシントンの様子をこう持ち上げた。

 「花火が上がったり、人々の歓声が上がる様子を見て私も感動した」

バイデン大統領の就任に祝意を表した上で、こうも述べた。

 「過去数年間、トランプ政権は中米関係にあまりに多くの地雷を埋めていたので、それを取り除く必要がある」

トランプ政権は中国のハイテク企業などをターゲットに数多くの制裁措置を打ち出してきた。こうした“地雷”の撤去が両国関係の改善に欠かせないと強調したのだ。

しかし、バイデン政権内からは、発足前から中国への圧力を維持するべきとの声が上がっている。バイデン大統領も「中国と競争し、中国政府には、不公正貿易や人権侵害などで責任を負わせる」と強調。トランプ政権が中国に課した制裁関税についても、すぐには見直さない考えを示している。


■バイデン政権vs習近平指導部 対立続く?日本への影響は

中国は当面、バイデン政権の出方を見極める構えだが、アメリカに対抗する手段も着々と準備している。20年12月には中国政府が「戦略物資」と見なせばアメリカなどへの輸出を制限できる「輸出管理法」を施行。21年1月にはアメリカが輸入の大半を中国に依存するレアアースの管理を強化する条例の草案も公表された。

米中対立が再び激しくなり経済制裁の応酬が再燃すれば、両国との経済的な結びつきが強い日本の企業にも影響は避けられない。日本の外務省の元幹部はこう語った。

 「同盟国との共闘を目指すバイデン政権が中国と激しく対立する局面が来たら、日本はあいまいな立ち位置は許されないだろう。時間はかかっても中国への依存度を下げる道は探るべきだと思う」

(NNN中国総局 富田徹)


<経済分野での米中対立主な動き>
■19年5月  米国 ファーウェイへの輸出規制を発表
■20年1月  米中貿易交渉「第1段階」合意文書署名 制裁関税の大半は残る
■20年8月  米国 中国系アプリ「TikTok」関連の取引禁止の大統領令
■20年11月 中国軍関連企業に対する投資禁止の大統領令
■20年12月 中国「輸出管理法」を施行
■21年1月  中国「レアアース管理条例」の草案発表

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