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ゾウと一緒に…ホテルで驚きの光景 タイ

2021年4月10日 18:25

タイの山の中にあるホテル。ゾウが歩き回り、部屋まで遊びにきてくれるといいます。そして、従業員にもある特徴が。一風変わったホテルを取材しました。

タイ北部・チェンマイの大自然の中にあるホテル。待っていたのは、タイを代表する動物、ゾウ。ゾウと直接触れあうことができるのが、ホテルの最大の“売り”です。

朝には驚きの光景が―。ゾウと一緒に朝食を楽しむことができるのです。

実は、ここにいるのはすべて保護されたゾウ。

タイでは観光客向けのショーなどで集められたゾウが、劣悪な環境で飼育されるケースもあるといいます。ホテルでは、そうしたゾウを保護しているのです。

ホテルの支配人・アレクサンドラさん「重い椅子を背負わされたゾウや、鎖につながれケガしたゾウを見てきました。できる限り彼らを守るのが、観光業で生きる私たちの責任だと思うのです」

ここでは、保護している17頭のゾウを自然に近い形で飼育。宿泊客にゾウへの理解をうながしています。

ホテルにはもう一つの特徴が。実は従業員の多くが、少数民族カレン族の女性です。

タイとミャンマーにまたがる山岳地帯の村に暮らすカレン族。電気や水道もなく、全く収入がない貧しい家が多いといいます。

カレン族・サモーさん「カレン族の女の子は勉強が終わる前に結婚させられます。親は子供を学校に行かせる余裕がないし、仕事もありません」

17歳で結婚し、2人の子供を抱えるサモーさん。カレン族では多くの女性が教育の機会をもてず、人身売買の被害にあうケースもあるといいます。

ホテルではこうした少数民族の女性を雇い、自立の手助けをしていて、サモーさんも今年から働き始めました。

この日ははじめて、オーナーから直々にカクテルの作り方を教えてもらうことに。

アレクサンドラさん「もうちょっと入れて、もうちょっとよ。うん、オッケー」

慣れない作業に戸惑いながらも、どうにか完成。

ほかの従業員と一緒に英語の勉強も始めました。

先生「もっと大きな声で言える?」

サモーさん「マンゴーです」

学校に行けなかった分を取り戻すかのように、勉強に励むサモーさん。

サモーさん「かなり大変でした。英語を話せるようになったらお客さんと分かり合うことができます」

接客や英語を学び、将来はカフェを経営したいといいます。

ゾウと少数民族に寄り添うホテルで、サモーさんは夢の実現に向け一歩一歩、進んでいます。