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ロシア大使に単独インタビュー 小児病院攻撃について“反論” 日本と「対話の可能性ない」「敵対的な態度の撤去を」と主張

2024年7月10日 20:50
ロシア大使に単独インタビュー 小児病院攻撃について“反論” 日本と「対話の可能性ない」「敵対的な態度の撤去を」と主張

日本テレビは10日、駐日ロシア大使に就任後初めてとなる単独インタビューを行いました。ウクライナ侵攻以来、日露関係が冷え込む中、大使が日本に求めたこととは…

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10日、私たちが話を聞いたのは、ことし5月に就任したばかりのロシア大使。

「わざわざ大使館までおいでいただいて、ありがとうございます」

流ちょうな日本語を操る、ニコライ・ノズドリェフ氏です。国際基督教大学に留学し、ロシア外務省でも日本担当の局長を務めてきた“知日派”。冷え込む日露関係の中で、何を語るのでしょうか。

日本テレビ 国際部長 小林史
「8日にロシアがウクライナの首都キーウを攻撃をして、子どもを含めた民間人が犠牲になっているという現状について、大使はどのようにお考えですか」

ノズドリェフ大使
「おととい行ったキーウに対する攻撃なんですが、破壊をしたのはノルウェー製のNASAMSという対空防衛システムのミサイルだった。つまりロシアのミサイルを迎撃しようとして、最終的に誤った操縦があったかもしれません」

子どもを含む42人が死亡した小児病院などへのミサイル攻撃について、「ウクライナ側の迎撃ミサイルによるものだ」と主張しました。

また、民間人の虐殺などロシア軍による「戦争犯罪」が指摘されてきたことについて聞くと…

日本テレビ 報道局長 伊佐治健
「民間人がキーウ近郊のブチャで多数殺害されるという事態がありました」

ノズドリェフ大使
「それはそちらがおっしゃっていると思うんですけど」

日本テレビ 報道局長 伊佐治健
「私たちの取材で、ブチャに住んでいたウクライナの人を取材したところ、私たちはブチャでの虐殺はあったであろうと感じています」

ノズドリェフ大使
「私はまさに逆に思っている。今までウクライナに対しては、もしこのような事件があったとしたら、具体的な犠牲者の名前を、リストをきちんと渡していただければどうかと」

「ロシア軍が撤退したあとにウクライナ側が仕掛けた」とする従来の主張を繰り返しました。

9日、NATO(=北大西洋条約機構)は、首脳会議にゼレンスキー大統領も招き、ウクライナ支援の強化を呼びかけ。国連安保理の緊急会合では、西側諸国からロシアへの非難が相次ぎました。

西側によるロシア批判が広がる中、大使が期待を示したのは、中国などの新興国です。

ノズドリェフ大使
「アメリカと違って、たとえばグローバルサウスの国でブラジルとか、中国が平和のためのいくつかの提案を出している。それに対してはロシアも極めて高く評価しています」

実際、プーチン大統領は7月に入って、中国の習近平主席、インドのモディ首相と相次いで会談。大使も、次のように述べました。

ノズドリェフ大使
「中国はロシアにとって極めて重要な戦略的パートナー。インドはロシアにとって戦略的に極めて重要なパートナー」

中国やインドとの連携の重要性を何度も強調。その上で…

日本テレビ 報道局長 伊佐治健
「G7を中心とした世界経済あるいは安全保障…」

ノズドリェフ大使
「いま変わりつつあります。自分としてはもっと平等な世界をつくりたいと考えています。たとえば西側諸国については、国際貿易をみるといろいろな障壁をつくっています。それに対してグローバルサウス諸国からは不満の声が出ています」

欧米中心ではない、新たな枠組みに期待を寄せました。

また、欧米と足並みをそろえ、ウクライナ支援にまわる日本に対しても…

ノズドリェフ大使
「二国間関係において一番重要なのは、敵対的な態度の撤去だと思います。岸田政権はいまでも非友好的な路線を続けていますから。その環境のなかでは、対話の再開の可能性はまずないと思います。私の仕事の一番大きな課題というのは、あくまで二国間関係を安定させて、限られた分野であってもその協力を保全して、何らかの形で発展していきたいと思います」