国境開放の“試金石”か? 北朝鮮が新型コロナで国境を封鎖以来「初」の選手団派遣 北京経由でカザフスタンへ
17日、中国・北京の駅に、北朝鮮から来たテコンドーの選手たちが到着しました。中央アジア・カザフスタンで開かれる国際大会に参加するため、夜行列車で14時間をかけ、経由地の北京に入ったのです。北朝鮮が選手団を国外に送るのは、3年半前に新型コロナウイルス感染拡大で国境を封鎖して以来、初めてとなります。
その後、選手達は北京の北朝鮮大使館に到着しました。女性たちが重そうな荷物を運び込んでいきます。
記者
「ひとりひとり、手には大きなスーツケースを抱えて階段をのぼっていきますね」
さらに、選手団の元には、新品のビデオカメラが届きました。選手団の活躍を記録して本国に報告するためでしょうか、使い方を入念にチェックしていました。
北京まで長旅を経た選手たちですが、この日は体を休めるわけではなく、大使館のまわりを走っていました。敷地内の別の場所では、わずかな時間も惜しんで練習するなど、最後の調整に余念がありません。
記者
「大会に向けて最後の練習、と言ったところでしょうか。女性とみられる選手が、次々に技を練習してます。すさまじい、パワフルですね 」
約2時間の練習を終え、選手たちは引きあげていきました。
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日付が変わった日本時間18日午前4時半頃、選手たちの姿は北京空港にありました。国際大会が行われるカザフスタンへ、さらに飛行機を乗り継ぐ強行軍です。さすがに疲れた様子も見られます。
―― 金メダルをとる自信は、ありますか?
選手 「……」
別の選手「あります」
―― どんな気持ちで大会に参加しますか?
北朝鮮が主導する国際テコンドー連盟 リ・ヨンソン総裁
「親善、平和親善」
今回の選手団の派遣は、本格的な国境開放につながるかが注目されています。
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こうしたなか、北朝鮮では、国営の朝鮮中央テレビが18日、台風被害を受けた東部の江原道の農場を金正恩総書記が訪れたと報じました。今年の穀物の生産目標を必ず達成するよう、強く鼓舞したということです。
長引く国境封鎖もあり、食糧事情は非常に悪化しているとみられ、韓国の情報機関は北朝鮮での餓死者が今年7月までに約240人にのぼっていて、例年の倍以上だと分析しています。
選手団の国外派遣は、近く本格的な国境開放に踏み切る“試金石”とする狙いもありそうです。