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中国“最先端都市”に異変 建設工事止まり路上では寝泊まりする若者も… 5日に全人代開幕

2024年3月4日 21:09
中国“最先端都市”に異変 建設工事止まり路上では寝泊まりする若者も… 5日に全人代開幕

5日から中国では国会にあたる全国人民代表大会が始まります。中国では経済の低迷が長引く中、成長のシンボルだった最先端の都市にも異変が起きていました。

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中国南東部の都市・深センは、経済特区として急速な発展を遂げてきました。

記者
「高層ビルの合間に何かが飛んでいます。ドローンでしょうか」

中国のフードデリバリー大手は、去年からドローンによる出前サービスを始めました。スマートフォンで注文できます。店舗で商品を受け取った配達人が、商品が入った箱をドローンに取り付けると、上空高くに飛び立っていきます。その後、ドローンは宅配ボックスの上に着陸。商品を受け取ることができます。

実は深センは、民生用のドローンの生産で世界の73%のシェアを占め、市内には1700社以上の関連企業が集まります。

深セン無人機工業協会 楊金才会長(センは「土」へんに「川」)
「中国はドローン大国です。面積が広くて物も豊富。人口も多い。ドローン産業は大きく発展します」

中国経済をけん引する"最先端の都市”深セン。しかし今、ある異変が起きていました。

記者
「こちらでは今年、世界で2番目に高い超高層ビルが完成する予定でしたが、工事は一向に進んでいません」

このエリアは、2017年に中国の大手不動産開発会社が約4800億円で購入し、世界第2位の高さとなる140階建て、700メートルの超高層ビルがシンボルとなるはずでした。しかし、不動産開発会社が債務危機に陥ったことで、建設が止まったままなのです。

記者
「工事現場で犬が寝そべっています」

周辺住民
「多くの人が期待や希望を持っていて、すごく盛り上がっていました。でも、もうずっと放置されたままで今はどうなっているのかわかりません」

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取材を続けていると、道路上に不自然に止まった車がありました。

記者
「当局の車が止まっています。こちらを映像で撮影していますね」
「立ち去っていきました」

さらに、男性から取材の中止を要求されました。

「建物を撮らないでください。ここの建設工事は、私たちの商業秘密と関わっているからです」

男性は工事の担当者を名乗りましたが、中国当局の関係者とみられます。なぜ、民間企業に関する取材を当局が妨害するのでしょうか。

街をさらに歩くと、当局が神経質にならざるを得ない、中国経済の現状が見えてきました。

記者
「歯を磨いている人がいます。その隣では寝てしまっている人もいます」

市内のバスターミナルでは、路上で寝泊まりをしながら日雇いの仕事を求める大勢の若者たちの姿がありました。

「(昨日したのは)地下鉄の点検作業です」

――なぜやめたのですか?

「時給16元(約320円)でずっと立ちっぱなし。そんなのやれるもんか」

不動産危機に加えて、若者の失業問題が深刻化する中、国家安全省は去年、中国経済に対する悲観的な報道を取り締まることを示唆しました。

それでも、市民の不満の高まりを覆い隠すことはできません。屋台街では、商売が厳しい中での管理費の引き上げに店主の怒りが爆発していました。

屋台の店主
「どうやって生きていけというんだ。『民生夜市』と掲げているくせに、庶民に生きてほしいのか死んでほしいのか、どっちなんだ」

中国では5日、国会にあたる全人代=全国人民代表大会が開幕します。関心が高まる中国経済の先行きはどうなのか――

NNN中国総局・柳沢高志総局長
「習近平政権はあすから始まる全人代で、中国経済はしっかりと成長しているとアピールするとみられていますが、外国からの投資も逃げる一方で、低迷脱却の糸口は見えていません」

全人代でどのような対策を打ち出せるのか、習近平政権に重い課題が突きつけられています。

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