建国記念日に“異例のパレード” 北朝鮮
北朝鮮では建国記念日にあたる9日、異例ともいえる未明のパレードが行われました。
◇
9日午後5時すぎ、北朝鮮の国営テレビでパレードの様子が放送されました。
多くの人々が集まったのは平壌中心部の金日成広場です。時計の針が午前0時を指すと、金正恩総書記が姿を現しました。
北朝鮮の建国73年の記念日にあたる9日、午前0時からパレードが行われたのです。
今回、行われたのは、民兵組織などによるパレード。銃を持った歩兵らが行進する様子が映っています。
今年1月にもパレードが行われた北朝鮮。この時は軍事パレードで、新型とみられるSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルを披露しています。
しかし、今回は大型の兵器は登場しなかったとみられ、いつものパレードとは異なるものになりました。
幹部らとともに満足そうな表情でパレードの様子を見守る金総書記。今回はパレードに際して演説は行いませんでした。
◇
今年6月に放送された国営テレビに映っていたのは、やつれた姿の金総書記。その様子を見た市民は…
北朝鮮の市民
「敬愛する総書記のやつれた姿を見たとき、人民は一番胸が痛かった」
体重の減少を市民が心配する様子が放送されてからおよそ2か月。9日に姿を現した金総書記は頬やあごのあたりがすっきりし、やせたようにも見えます。
韓国の情報機関は今年7月、金総書記の体重は10キロから20キロ減ったのではないかとしています。
◇
また、これまで金総書記が出席するイベントでは、ほかの出席者はマスクをしないことがほとんどでしたが、今回も全員がマスクをしていない様子が確認できます。
また、女性歌手の歌う場面では、金総書記が涙を流しているようにも見えます。
そして、このパレードでひときわ目を引いたのがオレンジの防護服と医療用マスクを着用した人々です。新型コロナウイルス対策を担ったとみられる部隊で、北朝鮮メディアは「世界的な大災難から祖国と人民の安全を守った」などと紹介しています。
北朝鮮としては、新型コロナ対策による国境封鎖や経済制裁が続き、国内の状況が厳しさを増す中で、パレードによって国威発揚をはかる狙いがあるものとみられます。