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物理学賞・真鍋さん 研究の陰には妻の支え

2021年10月6日 17:36
物理学賞・真鍋さん 研究の陰には妻の支え

真鍋淑郎さんが、今年のノーベル物理学賞に選ばれました。日本時間の6日に行われた会見で、真鍋さんは「私は気候変動の研究をとても楽しくやっていました。好奇心が研究活動全ての原動力です。私は自分の開発に100%専念することができました。彼女(妻)が尽くしてくれたことに本当に感謝しています」と話しています。


■真鍋さんはどんな人?

真鍋淑郎さんは、愛媛県出身の90歳。1958年に東京大学大学院で博士課程を修了しました。その年にアメリカに渡り、アメリカの気象局などで研究しました。

97年には、地球の環境変動の予測などを行う日本の「海洋研究開発機構」に勤務しました。2001年からはアメリカ・プリンストン大学で研究を続けました。

これで日本のノーベル賞受賞者は28人となりました。この「ノーベル賞」のどこが特にすごいのか。ご本人の言葉から、ひもといていきたいと思います。

まずは、受賞決定直後に答えた日本テレビのインタビューから。

真鍋淑郎さん
「僕のような研究をして(ノーベル賞を)もらった人は誰もいない。“気候物理学”といったらいいと思いますが、こういうトピックスでノーベル賞もらった人はいない。そういう意味では非常に光栄に思っています」

■ポイントは「気候物理学」

どこがすごいのかを語る上で、「気候物理学」がポイントです。これまでノーベル物理学賞は、「天文学」や「宇宙物理学」、原子、分子など物質の原理を追究する「素粒子物理」などといった分野から選ばれてきました。「気候学」の分野で物理学賞を受賞するのは、初めてなのです。

いま地球は温暖化していることは知られていると思います。「地球温暖化」の原因は、いまでは「二酸化炭素」や「温室効果ガス」であることが当たり前になっていますね。

今回の受賞理由にもなっている真鍋さんの功績、それは「二酸化炭素が増えると、地球温暖化が進む」ということを物理の法則を用いた数値でもって明らかにしたこと。しかも、真鍋さんは1960年代から研究を始めていたということなのです。

さらにどこがすごいのかを、気象予報士の木原実さんに聞きました。木原さんは「当時は、地球温暖化という言葉すら、一般の人たちには、全く馴染みがなかった時代。研究者の中には、地球はむしろ『寒冷化するのでは』という見方すらあった。そういう時代に『二酸化炭素が増えれば、温暖化する』という予測は、画期的」と話しています。

どうやって、それを明らかにしたのか。木原さんによると、地球の表面から上空までを「小さな箱」に区切り、その箱の中の「大気」のデータに加えて、真鍋さんは「海洋」、海のデータを1つ1つ入れていき、「大気+海洋結合モデル」を開発しました。

海は地球の7割を占めます。海の影響を加味したことで、精度が飛躍的に向上しました。これでもって「地球全体」の気候変動が科学的に予測できるようになりました。その結果、分かったのが、今回の受賞理由にも書かれています。「二酸化炭素が2倍になると、地球の表面温度が2℃上がるという予測」だったんです。

この真鍋さんが開発したモデルが大元になって、私たちがよく目にする気象情報、「3か月予報」、夏や冬の「季節予報」といった「長期予報」に、この仕組みがいかされています。


■偉大な研究の陰には妻の支えが

そして、この人類全体に影響するような偉大な研究の陰には、ある人の支えがありました。

真鍋淑郎さん
「むしろ奥さまがサポートしてくれなければ、こういう研究は絶対にできなかったと思います。もう彼女(妻)がいなかったらね、僕はもう生きていなかったかもしらん」

真鍋さんの妻・信子さん
「驚いたことには驚いたけど、彼(夫)はラッキーなんですよ。それを彼が365日、24時間研究できたのは、うちのこと心配しないでよかったから。チームワ-クですから。楽しく2人で過ごさないとつまらないですよ。1回しかないんですから人生」

  ◇◇◇

2年ぶりの日本の人がノーベル賞に選ばれたというニュース、とても喜ばしいですね。そして真鍋さんの「好奇心が原動力」という言葉が、印象に残りました。

(2021年10月6日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)