ウクライナ戦地に置き去りの犬を保護 兵士の心を癒やす存在に【もう一つの日常】
ウクライナ・キーウ郊外で任務にあたるドローン迎撃部隊を取材した時のことだ。兵舎の周りで、数匹の犬がウロウロしていた。
「もしや、野犬か?」と警戒したが、犬は兵士の姿を見つけると嬉しそうに駆け寄り、尻尾を振った。よく見ると、首輪の代わりに包帯を巻いている。兵舎の入り口の脇にはクッションが置かれ、その上で気持ち良さそうに昼寝をする犬もいた。
「なぜ、たくさんの犬がいるんですか?」
兵士に聞いてみると、前線や住民が避難したエリアに置き去りにされた犬を保護しているのだという。
「私たち兵士は皆、動物を愛しています。可能な限り救うようにしています。」
特に、“パトロン”と名付けられた黒い子犬は、部隊の人気者だ。丸い大きな目で見つめられると、屈強な兵士の表情もほころぶ。
ロシア軍による攻撃に備え緊迫の日々が続くなか、犬たちは兵士の心を癒やす存在でもあるのだ。
(ウクライナ・キーウ郊外 2月15日取材)
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ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって、間もなく2年がたとうとしている。崩れ落ちた街並みや家族と離ればなれになった人々。そんな戦渦の中にありながら、取材で垣間見えた「ひとときの日常」を記しています。