幕引き狙い?彭帥さん動画、相次いで公開
前の副首相から「性的関係を強要された」と告白した後、連絡が取れなくなったとされる中国の女子テニス選手・彭帥さんが21日、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長とテレビ電話をしました。彭帥さんをめぐっては相次いで動画が公開されていて、この問題に幕引きを図りたい中国の狙いが透けて見えます。
◇
消息不明といわれおよそ3週間、その安否に関する新たな情報が入ってきました。21日、IOCのホームページによりますと、画面越しに笑顔を見せる中国女子テニス選手の彭帥さんの話し相手は、IOCのバッハ会長です。
彭帥さん(21日、IOCのHPより)
「今は、プライバシーが尊重されることを望んでいる」
IOCによると、30分ほどのテレビ電話の中で「北京市内の自宅で暮らしていて、安全だ」と説明したといいます。
事の発端は、今月2日、中国の張高麗前副首相から性的関係を強要されたことなどをSNS上で告白し、その後、連絡が取れなくなったとされていました。
世界的に安否が懸念される中、20日、21日と、ツイッターでは彭帥さんの動画が相次いで投稿されました。投稿者は中国共産党系メディア「環球時報」の関係者です。21日投稿されたのは、北京で行われたテニス大会の開会式に出席した際の彭帥さんだという動画。
この動画が投稿されてから、およそ5時間後、私たちが会場を訪れると、確かに子どもたちなどは確認できましたが、彭帥さんの姿はありませんでした。
そして、環球時報編集長のツイッターに、20日、投稿されていたのは、コーチや友人と夕食を食べている際の彭帥さんだという動画です。ただ、不自然な点も垣間見えます。
環球時報編集長のツイッターより(20日)
「明日が11月20日でしょう」
「21日、明日は21日なの」
「そうそう、21日」
殊更に日付を強調したような会話です。さらに、店に入る際も、11月を強調するような映像のあと、彭帥さんの姿が映っていました。
21日、記者がこの店を直撃しました。店は北京市内の中心部にある人気店。店長に話を聞いてみると、「分からない。本当に何も分からない。聞かないでください」と“分からない”の一辺倒。
“無事”をアピールする動画は一方通行の状態です。相次いで動画を投稿していた環球時報編集長は22日午後、「彼女のここ数日の姿は、安心させるのに十分なものである」とツイッターに投稿しました。
ただ、彭帥さん本人からの発信はいまだありません。“無事”をアピールすることで懸念を打ち消し、北京オリンピックへの影響を抑えたい狙いがあるとみられます。