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「現実かと思った」――文章で動画を作成、最新 AI「Sora」とは 専門家に聞く…“フェイク”を見分けるポイントは

2024年2月17日 12:45
「現実かと思った」――文章で動画を作成、最新 AI「Sora」とは 専門家に聞く…“フェイク”を見分けるポイントは

ChatGPTを生んだオープンAIが開発中の、最新AI「Sora(ソラ)」。そのデモ映像が公開され、再現性の高さに驚きの声が上がっています。文章で指示することで、簡単に最長1分の映像を作れます。危険性も踏まえ、どう付き合うべきでしょうか?

■驚きを隠せない AI のクオリティー

16日夜、東京・渋谷。夜の繁華街を歩く1人の女性が映った動画を、街の人に見てもらいました。会社員(20 代)は「渋谷じゃないかな? 分かんない。多分、通ってきたところじゃない?」と言いました。

AI が作った架空の世界であることを伝えると、「え! そうなんか! すご!」と口に手を当てました。人工知能の AI が作ったと聞いた学生(16)は「えーえ! え! 現実かと思った…」と、そのクオリティーの高さに驚きを隠せない様子でした。

■オープン AI、日本語の「空」から命名

動画を作り出したのは、最新 AI「Sora(ソラ)」。ChatGPTの生みの親、アメリカのオープン AI が開発中の技術です。文章での指示に基づいて最長1分のさまざまな映像を生成できるといい、そのデモ映像がいくつか公開されました。アメリカのニューヨークタイムズによると、「Sora」という名前は、創造できるアイデアが無限なことから、日本語の「空」から付けられました。

■文章で…女性の見た目も情景も再現

夜の街を歩く女性の動画は、「暖かい色のネオンや看板であふれた東京の通りを、おしゃれな女性が歩いている」「サングラスと赤い口紅を塗っている。女性は自信に満ち、さりげなく歩いている」(実際は英語)という文章を基に生まれました。女性の見た目に関する指示だけではありません。「道は濡れていて、色とりどりのライトが反射。多くの歩行者もいる」という文章に基づき、周りの情景に関する情報も忠実に再現されています。

■実写さながら、CGアニメ風の映像も

また、「東京郊外を走る電車の窓にうつる反射」という短い文章からは、実写と見間違えるほどの映像が生成されました。車窓に反射していたのは、乗客らの姿でした。これを見た人は「え? 反射とかめっちゃリアル」と舌を巻きました。

他にも、雪が積もる東京の街に桜を咲かせたり、CGアニメーションのような映像を作り出したりすることも可能です。現在、この最新技術をビジュアルアーティストやデザイナー、映画製作者に対して提供を始めたというオープン AI。性的な動画や暴力的なもの、著名人に似せたものは制作できないようにするとし、技術悪用のリスクや安全性を専門家と検証していくとしています。

■見分けるポイントは「細かいところ」

生成 AIに詳しい、国立情報学研究所の越前功教授は「1分程度のそれなりに写実性の高い映像ができたのはかなりの驚きです。一般の方の想像力をかき立てる」と評価します。

一方で、越前教授は「いろんな企業によって同様のモデルが出てきて、特定の人物とかキャラクターに特化した映像が作れる可能性がある」と指摘。フェイク映像などが作られる危険性がより高まったとしています。AI が作ったかどうかを見分けるポイントについて聞きました。

越前教授
「例えば、細かいところですよね。(東京の街を女性が歩く映像では)看板とか標識を見れば分かりますよね。看板が日本のテキストになっていない」
「桜(と雪の中)の映像で2人が手をつないでいるものは、最後に行き止まりがありましたよね。(その先は)歩いて行けないんじゃないかと」

こうした小さな違和感に気づく必要があるといいます。「技術的にこういうものができるんだと一般の方にも知っていただいて、ネットユーザー自身がある程度考える必要が出てくるのではないかと思います」と越前教授は呼びかけます。

■小林涼子さんに聞く…危機感も楽しみも

中島芽生アナウンサー
「このAIに対してどう思われますか?」

小林涼子さん(俳優・経営者)
「まず経営者として、こんな便利なものはない、と感じました。ChatGPTもそうですが、今欲しいものがすぐ手に入るというのは便利ですよね。ただ、その情報や映像が本当に正しいのかな?という疑問は、この先もずっとついてくるのではないかなと思います」

中島アナウンサー
「俳優としては、AIとの共存についてはいかがでしょうか?」

小林さん
「正直、本当にドキドキしています。こういった技術に私たちの仕事が代わってく可能性があると思うと、切ないような気もします」
「一方で、最新技術との融合という面では、私はモーションキャプチャーアクターをしたことがありますが、私が顔と動きの芝居をして、それがアニメーションに変わっていき、とても面白いなと感じました」
「この生成AIとも私たち俳優が共存をしていく、そういった可能性も考えてみると面白いのかなと思います」

中島アナウンサー
「表現の幅が広がる方向に行くといいですね」

小林さん
「そうですね」

(2月16日『news zero』より)