×

イスラエル軍「ガザを北と南に分断」 ハマス側も徹底抗戦 死者数1万1千人超に…

2023年11月6日 22:28

イスラム組織「ハマス」がイスラエルに大規模攻撃を仕掛けてから、7日で1か月。「ハマス」根絶を掲げ、ガザ地区の中心部に進軍しているイスラエル軍は、「ガザを北と南に分断した」と明らかにしました。今後は、市街戦が本格化するとみられます。

    ◇

6日、イスラエル軍が新たに公開したのは、砲撃による大きな爆発や、廃墟と化したガザ地区の中を進軍する様子です。夜間も砲撃が行われています。目的は「ハマス」の殲滅です。市街地に到着すると、容赦なく攻撃しています。

イスラエル軍の報道官は、“ガザ市南部の部隊が海岸線に到達し、戦線を維持している”と明らかにしました。そのうえで、「ガザを北と南に分断した」と主張しています。

ただ、「ハマス」も徹底抗戦しています。SNSで公開したのは、ガザ市での戦闘とされる映像です。ロケット弾を向けた先にあるのは、イスラエル軍のものとみられる戦車。地の利をいかして、軍用車両の至近距離まで近づき、攻撃する様子も映っていました。

激化の一途をたどる地上戦で、人々が暮らした街は、戦場へと変貌しました。イスラエル軍による空爆も止まりません。民間人は、“死”がつきまとう日常を強いられています。双方の死者は、これまでに1万1000人を超え、「ガザ地区」では9400人以上にのぼっています。(※死者 ガザ地区:9488人 イスラエル:1400人以上)

    ◇

突然の訃報は、「ガザ地区」の病院の前から中継していた、現地テレビ局の記者にも届きました。

記者
「もう耐えられない」

スタジオにいるキャスターも顔を手で覆いました。同僚の記者の死に、押し殺していた感情があふれ出しました。

記者
「私たちは、一人ずつ殺されていく。誰も私たちを注目していないし、ガザで経験している被害や犯罪の程度にも、目を向けていない。防弾装備やヘルメットは、私たちを守ってはくれない」

カメラに向かって、ガザの窮状を訴えました。

記者
「私たちの同僚であるモハメド・アブハタブは、妻、息子、弟とともに、30分前に殺された。犠牲になった彼らは、この病院内に安置されている」

    ◇

「ハマス」によるイスラエルへの大規模攻撃から、7日で1か月。当時、「ハマス」の戦闘員に襲撃されたイスラエルの“音楽祭”で、被害にあった無数の車が公開されました。

後閑駿一 記者(イスラエル 5日)
「奥には、ほとんど原形をとどめていないものもあります」

音楽祭では、多くの若者が犠牲になり、人質として連れ去られました。音楽祭の主催者は、当時、車の中に隠れ、生き延びたと証言します。

音楽祭の主催者 ローラさん
「(襲撃を受けた時)隠れる場所がなかったので、この車に戻ってきて隠れました。10分後くらいで、外から銃撃音が聞こえてきて、とても恐ろしかったです」

イスラエル軍は、依然として240人以上が人質となっているとしていて、安否が懸念されています。

【Plus解説】衝突激化 停戦の兆し見えず

鈴江奈々キャスター
「国際部の近野解説委員に聞きます。7日で衝突から1か月となりますね」

日本テレビ 解説委員・国際部デスク 近野宏明 解説委員
「そうですね、1か月。当初は、多数の死傷者を出し、人質までとられたイスラエルへの同情論もありました。しかし、その後の双方の死者は1万1000人を超えていて、その内訳を見ると、9割近くは「ガザ地区」側なんです。それはつまり、イスラエル軍との圧倒的な戦力の差が、死者数の比率にも如実に表れている、と」

「さらに『ガザ地区』では、避難所の学校や救急車までが攻撃を受けたということで、いつまで、この罪のない人々を恐怖にさらし、その生活を脅かし続けるのか、という疑問の声は各所で高まっています」

鈴江キャスター
「国際社会からもあがっている、停戦の可能性というのはあるんでしょうか?」

近野 解説委員
「これは、かなり難しくて…『ハマスを殲滅させる』まで言いきったイスラエルは、『ガザ地区』をいま南北に分断したといっていて、市街戦を本格化するようですし、ハマスも徹底抗戦の構えです。つまり、すぐに戦いが終わる気配がまるでない、ということなんです」

「双方に譲れない理由があるにしても、1日も早い停戦を求めるばかりです」