家族をウクライナに残し避難……28歳タチアナさん、“警報アプリ”毎日チェック 25歳アンナさんは「戦地の父」にメッセージ
長く戦禍に見舞われているウクライナから日本に避難してきた人は、何を思い、どんな毎日を過ごしているのでしょうか。家族と離れて暮らす2人に話を聞きました。スマホの中の写真や、母国の状況が分かるアプリから、家族や知人を案じる姿が浮かびました。
■値引き交渉も…フリマアプリ活用
東京・豊島区。ウクライナ・オデーサから避難してきたタチアナさん(28)を訪ねました。「こんにちはー、どうぞ」と日本語で迎えてくれました。
部屋の壁には、写真がありました。「これは私の友人です。彼女は夫がいるため避難しませんでした。彼女のことを忘れたくないから、ここに飾ったんです」
避難から約4か月。日本で使っているスマホの中には、フリマアプリが入っています。「避難してきて仕事がないので、節約するためにフリマアプリを使用しています」と言います。
出品者とのやりとりでは、丁寧な日本語で値引きの交渉をしています。「日本語の先生に手伝ってもらいました。値段交渉できるのは素晴らしいです」
■欠かさずチェックする「警報アプリ」
日本語の勉強はどうしているのでしょうか。「これは小説の文章です」とタチアナさん。小説を翻訳しながら読んでいます。「1日だいたい4時間は、読書をして過ごしています。それで2ページくらいしか読めないですけど」
そして、毎日欠かさずに見ているというアプリがあります。「ウクライナで警報が出されたかどうかが分かるんです」。家族が住む地域に警報が出ると、「オデーサ州 空襲警報 避難してください」などと通知が届くといいます。
タチアナさん
「家族に会いたいです。戦争が早く終わって飛行機が飛べるようになったら、日本に来てほしいです」
■多くの避難者は「時間をかけて就活」
神奈川・横浜市にある、英語で預かる学童保育を尋ねました。
ウクライナの首都キーウから避難してきたアンナさん(25)は、英語教師をしていた経験と、子ども好きという人柄からこの施設で採用が決まり、働いています。
アンナさんがスマホで見せてくれたのは、交流施設で出会った、ウクライナから避難した友人の写真です。「残念ながら、私みたいに早く仕事を見つけている人はほとんどいません。多くの避難された方が、時間をかけて就職活動しています」と明かします。
■戦闘に参加…「パパ、ありがとう」
侵攻直後から戦闘に参加しているという、父親の写真も見せてくれました。「戦地にいる父親です」。毎日のように連絡を取り合っているといいます。
父親
「あなたの方はもう朝だから。お誕生日おめでとう。とても会いたい。愛してる」
アンナさん
「パパ、ありがとう」
アンナさんは、「戦争がこれほど長引くとは思いませんでした。いつか、帰国して母国で働けるようになることを願っています」と胸の内を語りました。
(8月18日『news zero』より)