無人機攻撃避け地下鉄駅に“教室” 死と隣り合わせ…ハルキウの子供たち ウクライナ侵攻2年
ウクライナ侵攻開始から2年。多くの子供たちも犠牲になっています。ロシア国境に近いウクライナ東部ハルキウ。攻撃から身を守るために「地下」につくられた学校で学ぶ子供たちを取材しました。
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人口130万のウクライナ第二の都市ハルキウ。
東部で激しい戦闘が続くなかハルキウでも空襲警報が1日に10回以上鳴ることもあります。
今月には、無人機による攻撃で住宅が炎上。子供たちも犠牲になりました。
多くの子供たちが住むこの町。地下に向かった先にあるのは、「学校」です。
地下鉄の駅を改造して去年9月につくられ「地下鉄学校」と呼ばれています。
教室の壁に貼られていたのは「爆発物に触るな」というポスター。
命を落としかねない危険ととなりあわせの日々。
危険をさけるためこれまで自宅でのリモート授業を余儀なくされてきた子供たち。
いまは、そばに友達がいます。
4年生担任 オレナ・フェドロバさん
「戦争で子供たちはよりおびえやすく、より警戒し、すぐにいらいらする子供もいます。ここに集まることで子供たちの気分は前向きなものに変わります」
空も見えず、走り回る場所もない。
理想的とは言えなくてもここは子供たちが安心できる場所です。
エバ・ドゥホウナさん
「ここで勉強するのが好きです」
エバ・ドゥホウナさん、9歳。
両親と姉の4人暮らしで、この家の近くでもミサイルの着弾がありました。
エバさんの母 ビクトリア・ドゥホウナさん
「長女が爆発の破片を浴びました。長女は血まみれで運ばれてきました」
その様子を見たエバさんは――
エバさんの母 ビクトリア・ドゥホウナさん
「一晩で指2本分が白髪に変わりました。一晩で人が白髪になるのを目にするなんて思ってもみませんでした」
ユニセフによりますと、13歳から15歳の5人に1人が心的外傷後ストレス障害の症状を訴えるなど、戦争で子供たちの心も深く傷ついています。
絵を描くのが大好きなエバさん。
エバ・ドゥホウナさん
「絵を描くとリラックスできるの」
自宅にいたころは緊張した状態が増え、吃音が出たり、自分で髪の毛を抜くこともありました。
しかし、地下鉄学校にきて落ち着きを取り戻したといいます。
エバ・ドゥホウナさん
「私は警察官になりたいです。地雷を撤去したり、人の命を助けたりすることができるからです」
現在、地下鉄学校に通うのはおよそ2000人。ただ、ハルキウにいるおよそ11万人の生徒のごく一部にすぎません。
市は、地下に新たな学校施設も建設中です。
ハルキウ市 イホル・テレホフ市長
「私たちは必ずすべてに耐え、勝利し、平和な国で暮らします」