国連安保理 ロシア非難決議否決 ロシアが拒否権行使 中国は棄権 議場では犠牲者に黙祷も…

国連の安全保障理事会は25日、ウクライナに軍事侵攻したロシアを非難し、ロシア軍の即時撤退を求める決議案の採決を行いました。採決では、安保理理事国15か国のうち11か国が賛成しましたが、常任理事国のロシアが拒否権を行使し否決されました。
■アメリカが直前まで中国を説得 会合は2時間延期
ウクライナ情勢が緊迫して以降、国連安保理の会合が開かれるのは、今回で5回目だ。
アメリカなどが提出した決議案は、ウクライナに軍事侵攻したロシアを非難し、ロシア軍の即時撤退を求めるもので、日本を含む80か国以上が共同提案国として名を連ねた。常任理事国であるロシアの拒否権行使が確実視される中、アメリカは、「国際社会におけるロシアの孤立を強調させる狙いがある」として、ロシア以外の安保理理事国14か国すべての賛成を目指した。
会合が始まる直前まで、アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使が、中国の張軍国連大使の説得にあたるなど、会合は当初の予定より2時間遅れて始まった。
■反戦の象徴「ゲルニカ」の前で掲げられたウクライナ国旗
ウクライナのキスリツァ国連大使は会合に先立ち、各国の大使や外交官らに国連ウクライナ代表部のマスクを配った。
アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使やイギリスのウッドワード国連大使をはじめ、多くの外交官らがおそろいの「ウクライナマスク」を着用して会合に臨むなど、ウクライナとの連帯を示した。議場に入る直前、ウクライナの大使は、各国の大使らとともにピカソの代表作「ゲルニカ」の前でウクライナの国旗を掲げた。
戦争の悲惨さを描いた「ゲルニカ」は、長年、安保理の議場前に設置されている。反戦の象徴の前でウクライナの大使は、平和のために安保理として一致した対応をとるよう呼びかけた。
■米大使「国連憲章を信じるなら賛成を」と訴えるも… ロシアが拒否権行使注目の中国は棄権
会合の冒頭、アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は、「ロシアは、ウクライナを侵略し、ウクライナの人々や自国民に計り知れない苦しみを与え、国際法と国連憲章に違反することを選択した」と厳しく批判。
その上で、「投票は単純だ。国連憲章を信じ、ウクライナの主権と領土保全を支持し、ロシアが責任を負うべきと考えるなら賛成。もし、国連憲章を守らず、ロシアの攻撃的で挑発的な行動に同調するならば、反対か棄権だ」と訴えた。その後、採決が行われ、安保理理事国15か国のうち11か国が賛成したが、常任理事国のロシアが拒否権を行使し否決。注目されていた中国は棄権した。
■ロシア大使 「決議案はウクライナ国民の利益に反する」