中国のモスク・教会などに“異変”…習政権の締め付け強化「宗教の中国化」
中国各地にあるモスクや教会など、さまざまな宗教施設に今、異変が起きています。改修工事で様変わりし、中国国旗も掲揚。背景には宗教への締め付けを強める習近平政権の方針がありました。
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北京郊外にある白い建物。イスラム教のモスクです。この一帯では最大規模のモスクですが、モスクらしいドーム状の屋根などはなく、中国の国旗が掲げられています。
去年、改修され、中には「宗教の中国化」というスローガンが掲げられていました。
記者「新しいモスクから約50m場所に、 古いモスクが残っています」
以前の建物も一部は残っていますが、現在は閉鎖され、物置に。イスラム教の伝統を大切にしてきた住民は、やがて取り壊されるのでは…と心配しています。
レストラン従業員「おととし政府がモスクの様式を統一しドーム屋根などを認めなくなった」
変化はイスラム教徒向けのレストランでも。以前はアラビア文字の看板を掲げていましたが、政府の通達が来てすべて撤去しました。
レストランの男性「雰囲気のないように改築しろと(政府に)言われるなら仕方がない。今も政治的な動きがあるんだろう」
習近平政権は近年、中国各地のモスクや教会を閉鎖したり、中国風に改修したりするなど、「宗教の中国化」を推し進めています。
習政権は、礼拝で多くの人が集まるモスクなどが政権批判の温床になることを恐れていて、こうした施設の宗教色を薄めることで、信仰よりも中国共産党への忠誠を優先させるのが狙いです。
反発も出ています。去年、中国南部で当局がモスクを改築しようとして抗議デモが起きました。
しかし習政権は今週、開かれた会議でも、宗教への介入を続ける方針を強調。信仰の自由への締め付けがさらに強まりそうです。