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「またミサイルで攻撃されるのが怖い」仮設住宅で暮らすウクライナ家族 生活再建の道のりは…

2022年6月29日 20:30

ウクライナのショッピングモールに、ロシア軍のミサイルが着弾する瞬間とされる映像が、ゼレンスキー大統領のSNSで公開されました。ロシア軍の攻撃が激しさを増す中、家を追われた人たちの仮設住宅への入居も始まっていますが、生活再建は容易ではありません。

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27日、ウクライナ中部クレメンチュクのショッピングモールに、ロシア軍のミサイルが着弾した瞬間だとする映像が、ウクライナ・ゼレンスキー大統領のSNSに公開されました。映像には、ミサイルが命中し、炎と黒い煙があがり、破片が飛び散る光景が捉えられていました。近くの公園のカメラには、落ちてくるがれきを避けようと、池に飛び込む人々の姿も捉えられていました。

ウクライナ大統領府の副長官によると、これまでに少なくとも20人が死亡、59人がケガをしました。

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戦闘が激しさを増す中、家を追われる人が増えています。私たちが出会った、イリーナさんもその1人です。首都近郊のボロジャンカにある仮設住宅で、2歳の息子・イェーゴルくんら、家族5人で暮らしています。しかし、この日、夫の姿はありませんでした。

イリーナさん
「夫は仕事で、(平日は)キーウ(の寮)に住んでいます」

何とか仮設住宅に入れたものの、生活再建の見通しは全く立たないといいます。

イリーナさん
「戦争前の写真を見ると、とても苦しくなります。前の生活はとてもよかったので、思い出さないようにしています」

家財道具の運び出しのため、自宅に戻ったイリーナさんに同行しました。見せてもらった子ども部屋は、空爆の衝撃で足の踏み場もありませんでした。イリーナさんは散乱した家財の中から、イェーゴルくんのおもちゃを取り出しました。

イリーナさんは、住宅の1階で空爆にあったといいます。

イリーナさん
「息子がここで倒れていました。がれきなどがかぶさっていました」

衝撃で意識を失った息子のイェーゴルくんを地下のシェルターに連れて行き、介抱したといいます。いまでも、イェーゴルくんの顔には、そのときの傷痕が残っています。

イリーナさん
「息子が大きくなったら、ケガや戦争について説明したいです。誰がこんなことをしたか知ってほしいです」

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週末、再び仮設住宅を訪れると、夫のユーリさんが帰宅していました。

イリーナさん
「夫に子守してもらって、私はその間に買い物や料理ができます」

1週間ぶりの家族の再会。イリーナさんが他の用事を済ませている間は、夫のユーリさんがイェーゴルくんと遊びます。

夫・ユーリさん
「息子や妻がいないことが心細い。やっと家族と一緒になって幸せです」

そんな中、イリーナさんは、自宅から持ってきたあるものを見せてくれました。

イリーナさん
「これが結婚指輪です」

14年前に購入した思い出の指輪。軍事侵攻の影響で収入が減ったため、一度は手放すことも考えました。

夫・ユーリさん
「この金(指輪等)を売れば、何とか生活できると思っていた。今は(大切な思い出の指輪を)その時売らなくて良かったと思います」

イリーナさんは、将来への希望を捨てていません。

イリーナさん
「またミサイルで攻撃されるのが怖いです。でも、そのほかのことは乗り越えられます。平和になったら、家を建てられると思います」

生活再建への道のりは、まだ始まったばかりです。

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