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“激戦”ウクライナ東部から避難も…現地の家族と連絡取れず「無事を願う日々」

2022年6月28日 21:03
“激戦”ウクライナ東部から避難も…現地の家族と連絡取れず「無事を願う日々」

ウクライナ中部の都市・クレメンチュクのショッピングセンターにミサイルが着弾するなど、ロシア軍の攻撃が激しくなっています。激戦の東部から避難してきた人を取材すると、現地の家族や友人と連絡が取れず、無事を願うしかない苦しい状況が見えてきました。

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黒煙が空高く立ち上り、炎に包まれていたのは、ウクライナ中部の都市・クレメンチュクにあるショッピングセンターです。27日、ロシア軍のミサイルが着弾しました。

ウクライナ非常事態庁によると、少なくとも18人が死亡、59人がケガをし、そのうち25人が入院しているということです。

こうした事態に、ウクライナのゼレンスキー大統領は自身のSNSで、次のように述べました。

ゼレンスキー大統領
「ショッピングセンターで行った攻撃は、ヨーロッパの歴史上、最も反抗的なテロ攻撃の1つだ。中には1000人ぐらいの民間人がいたようです」

直前まで約1000人の買い物客がいた建物に攻撃したとして、ロシアを強く非難しました。

多くの死傷者を出したロシア軍による攻撃ですが、本来の標的ではなかったとの見方も浮上しています。地元メディアは「石油精製施設を狙ったミサイルが、誤ってショッピングセンターに着弾した」としています。

また、アメリカの戦争研究所は「民間人に大きな被害を引き起こすような、このような攻撃は恐らく拡大する」との見方を示しています。

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ウクライナ第2の都市・ハルキウでは、小学校などが標的になりました。地元警察によると、5人が死亡、子ども5人を含む31人がケガをしたということです。

ロシア軍が攻勢をかけるウクライナ東部・ルハンシク州では、ウクライナ軍最後の拠点・リシチャンシクに、ロシア側が連日、激しい攻撃を続けています。

今、東部で何が起きているのでしょうか。取材を進めると、その一端が見えてきました。

記者
「こちらの避難所には、激戦が続く東部から避難してきた人たちが、たくさん住んでいます」

ロシアによって占領された東部の町・ポパスナから脱出したワレリーさん(24)は、ロシア軍の攻撃が強まったため、約40日にわたるシェルターでの過酷な生活を強いられました。

ワレリーさん(24)
「私の部屋は、右側にありました」

物を取りに外へ出た友人が攻撃で亡くなるなど、死と隣り合わせの生活だったといいます。

ワレリーさん(24)
「父は鉛筆を2つに折って、念のために紙をくれました。家の下敷きになったときに、自分の名前を残すためです」

父親が手配したバスで、4月上旬に脱出できましたが、持ち出せたのは衣類が入ったバッグ1つのみでした。避難所では、今でも心安まらない日々が続くといいます。

ワレリーさん(24)
「歩いているとき、突然、砲撃を受けて死ぬ夢を見ます。それで、ハッと起きてしまいます」

ロシアが攻勢を強めているリシチャンシクから避難したというリリアさん(22)は、現地に残る祖母と全く電話がつながらないといいます。

祖母の安否を確認する手段は、小包を届けるボランティアがSNSにアップする動画のみです。

リリアさんの祖母(フェイスブックより)
「小包をありがとう。無理しなくてもいいよ」

ただ、この1週間は安否が全くわからないということです。

リシチャンシクから避難 リリアさん(22)
「とても心配しています。どうしていいか、わかりません。おじいさんは93歳で血圧が高いのですが、道路が封鎖されていて、誰も薬を送ることができません」

激戦が続く東部からの避難者たち。故郷にいる家族や友人の無事を願う日々が続いています。