「世界中に展開して存在示す」中国“3隻目の空母” 実戦投入か
中国で17日、3隻目となる新しい「空母」が進水し、式典が執り行われました。新兵器の登場を内外にアピールする中国の狙いはどこにあるのでしょうか。
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日本時間17日午後1時すぎ、中国国営メディアは、建造中だった3隻目の空母が進水したことを報じました。
「我が国3隻目の空母の進水式がきょう午前、江南造船所で行われました」
船首に設置されたシャンパンとくす玉が割られると、色鮮やかなリボンと花火が空を舞い、ゆっくりとドックから離れていきました。
中国メディアによると、「福建」と命名されたこの3隻目の空母は、満載排水量は8万トンあまりで、中国国産の空母としては初めてとなるカタパルト式の空母だと強調しています。
この「福建」という艦名ですが、台湾の対岸にある中国・福建省からとった艦名とみられています。福建省は、習近平国家主席が若い頃に長く勤務した“ゆかりの地”としても知られていて、中国のネット上には、「空母『福建』の矛先は台湾に向いている」「台湾統一の日が待ち遠しい」との意見も出ています。
そしてもう一つ「福建」の大きな特徴となるのが、カタパルトです。カタパルトとは航空機を発艦させるため加速する装置で、現在はアメリカなどの空母しか備えていません。これまでに造られた中国の空母2隻はいずれも、艦首に傾斜をつけたスキージャンプ式でした。
中国の空母としては、初めてカタパルトを備えたとされる「福建」。しかもリニアモーターを使った最新式の電磁カタパルトであると中国国営メディアは伝えています。全部で3基あるとみられる電磁カタパルトですが、17日公開された映像では、テントのようなもので覆われていて確認することはできませんでした。
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中国が3隻目の空母を造った狙いについて、中国の軍事に詳しい笹川平和財団の小原凡司上席研究員に話を聞きました。
笹川平和財団 小原凡司上席研究員
「カタパルトを3基備えていて、航空機の運用効率が非常によくなります。大きさも、長さが317~318メートルあって、船の幅はアメリカの空母とほぼ同じ。アメリカの空母が搭載する艦載機に近い数の航空機を運用できるようになる。この3番目の空母こそが、中国にとっては実戦投入できる空母となると捉えられている」
実戦投入できる空母を完成させたとみられる中国。「福建」をどのような任務に就かせるのでしょうか。
笹川平和財団 小原凡司上席研究員
「グローバルな戦略的な任務に就くといわれています。中国を守るだけではなく、世界中に展開をしてプレゼンスを示すものになる。アメリカに対しては、核兵器だけではなく、通常兵力でもアメリカの中国に対する軍事力の行使を抑止するためにも使われることになる」
カタパルトの覆いには「党が新しい時代の軍隊強化の目標を実現させ、人民海軍を世界一流の軍隊にする」と書かれています。今後は、試験航海など実戦配備に向けた準備を進めていく「福建」。ことし後半に行われる中国共産党の党大会を前に、国威発揚につなげる狙いもあるとみられます。