タイで唯一、障がい者がいるプロフットサルチーム 日本人経営者・相原豊さん「自信を持って夢をかなえて」伝えたいメッセージ
東南アジアのタイで、生まれつき手に障害のある日本人男性が、プロのフットサルチームを経営しています。なぜ、タイでプロチームをつくったのか―。きっかけは、子どもたちからもらった手紙でした。
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タイのプロフットサル2部リーグのチームを経営する相原豊さん(43)は、生まれつき左手がありません。
相原さん
「ハンディじゃないですけど、ネガティブなものをポジティブなものに変える力っていいなと思っていて、(その力を)みんなに見せたいと思った」
ハンディがあるのは相原さんだけではなく、18人いる選手のうち2人は耳が聞こえません。タイのプロリーグで唯一、障がい者のいるチームです。耳が聞こえない選手のための戦術も組みながら、ほかのチームと同じルールの中で戦っています。
生まれつき耳が聞こえないオップ選手(24)は、“デフサッカー”のタイ代表にも選ばれる実力の持ち主。
相原さん
「(おととしは)うちの主力でやってくれて、リーグで点も取ってる」
しかし、試合中のコミュニケーションも身ぶりや手ぶりで行っています。
相原さん
「(健常者の選手たちも)勝ち負けがかかっているので、厳しくなることもあるし言い過ぎることもある」
そのため、意思疎通ができているのか不安を感じることもあるといいます。
相原さん
「健常者(の中)に入って上手くいかないプレーが2、3個続くと心が折れてくる。 まずは(強い)心ですよね」
オップ選手
「もっと学んで、障がいのある子どもたちにこの経験を教えてあげたい。私は耳が聞こえない人の手本になりたい」
チームを率いる相原さんはいま、一人暮らしをしています。家族はコロナ禍で帰国したままです。
――家族とのテレビ電話の様子
相原「楽!おとんハゲてますよ」
楽くん「ごくあく(極悪)!」
相原さん「何?」
相原さん
「寂しいですよね。特に子どもが小さいので、プライベートがもう…すっからかんですからね」
なぜ、タイで挑戦を続けるのか―。相原さんはおよそ20年前、タイやアフリカのウガンダなどで、プロのサッカー選手としてプレーしたことがあります。将来サッカー教室を開くために、プロ経験を積みたかったからだといいます。
転機は、再び戻ったタイ。サッカーを教えていた、ろう学校の子どもからある手紙をもらいました。
相原さん
「簡単な文章なんですけど、『僕もサッカー選手になりたいです』って。障がい者がそういう所に出て活躍してたらカッコいいんじゃないかと思って、それを(受け入れるチームを)僕がつくろうと思った」
チームは結成から4年目。スポンサー集めなど困難もありますが、周囲の理解は少しずつ広がっています。
スポンサー企業の社長
「タイの(障がいのある)若者たちへの素晴らしい思いやりです。タイ社会の一員として私は彼を支援したい」
相原さん
「僕らのクラブが障がい者のシンボルとなって(選手たちを)障がいがある子どもたちだったり、いろんな子どもたちが見て、元気になったりとか、自分たちが将来自信を持って夢を叶えようとかしたりできたらいい」
――自信を持って夢をかなえてほしい。障がいのある子どもたちへ相原さんのメッセージです。