【近く地上侵攻か】イスラエル軍「退避」呼びかけも…人道回廊設置のメド立たず 関係者・“人質”友人がガザ地区内にいる人は
イスラム教の「金曜礼拝」の日の13日、私たちはエルサレムへ入りました。モスクと呼ばれる礼拝堂へと向かいましたが、厳戒態勢がしかれており近づけませんでした。
大勢のイスラエル軍兵士が、周辺を監視。人々は武装した兵士が間近にいるなかで祈りを捧げていました。
世界各地で警戒が強まるなか、中国・北京では、路上でもみ合う2人がカメラに捉えられていました。白い服を着た男の手には、刃物が握られています。襲われている男性は、イスラエル大使館の関係者だといいます。
男は男性に覆いかぶさるように襲いかかり、刃物で繰り返し刺そうとしています。路上に広がる血の跡。襲撃した男は、立ち去っていったようにみえます。
現場となったのは、イスラエル大使館から約1キロの場所。大使館前では、黒い服を着た人が数人立っており、あたりを見回していました。警戒にあたっているようでした。
中国メディアによると、刃物を持った男は外国人で、その後、地元警察に拘束されたということです。刺されたのはイスラエル大使館員の家族で、病院に運ばれ容体は安定しているといいます。
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イスラム組織「ハマス」が、イスラエルへの大規模攻撃を行ってから、まもなく1週間となります。
イスラエル軍による報復の空爆が続く、「ハマス」の拠点、ガザ地区では連日、多くの遺体が運ばれ埋葬されています。
ガザ地区の住民
「遺体を埋める場所がもうないので、家の周りなどに墓を作っている」
パレスチナ保健省によると、ガザ地区の死者はこれまでに1537人に上っています。またイスラエル軍によると、ハマスによる襲撃やロケット弾攻撃などによるイスラエル側の死者は1300人に上っています。
こうしたなか、イスラエル軍はガザ地区に住む民間人にある警告を促しました。
イスラエル国防軍 報道官
「重要な戦闘作戦を進行中です。民間人を標的にはしたくありません」
ガザ地区北部にあるガザ市に住む民間人に対し、24時間以内、つまり、日本時間14日午前までに南側に退避するよう呼びかけているのです。
数日以内にガザ地区で重要作戦を行うと表明していて、地上侵攻が始まる可能性が高まっています。
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こうしたなか、私たちが話を聞いたのは、ガザ地区の住民が作る刺しゅうの販売を通じて、現地を支援している女性です。現地の人とのメールのやりとりを見せてくれました。
ガザ地区の住民を支援する女性
「ガザの状況が心配です。あなたの家族は無事ですか?」
現地住民
「とても危険な状況です。ロケットも爆弾も至るところに。ガザは安全ではありません」
こうした連絡もいまは途絶えたといいます。
ガザ地区の住民を支援する女性
「今週の月曜日までで連絡が止まってしまった。彼女たちの安否確認ができていない」
イスラエルが10日に、ガザ地区の電気の供給などを遮断したと発表しているため、連絡手段を失ってしまったのでしょうか。
ガザ地区の住民を支援する女性
「とにかく生き延びてほしいなと願っています。早く収束して再び刺しゅう作りができる状況に戻ってほしい」
今後、イスラエル軍による地上侵攻が行われれば、さらに多くの民間人が巻き添えになることが懸念されますが、民間人を退避させるための人道回廊設置については実現のメドは立っていません。
また、ハマスはイスラエル側から多くの民間人や兵士を拉致していて、ガザ地区には多数の人質もとらわれています。
友人が人質になっているという女性に話を聞くことができました。友人はハマスの襲撃を受けた音楽フェスに参加していたといいます。
女性
「彼女は『銃撃があった』と両親に電話していました。それ以来連絡はありません」
その後、女性が見つけたのが、友人が映っているという映像です。ハマスの戦闘員とみられる人物が投稿したもので、女性に対して危害を加えることを示唆する言葉を投げかける声が入っています。
女性
「この女性は明らかに友人です。彼女は怖がっていて、命乞いをしていました。彼女が生きていてけがもなく安全に戻ってくることを祈っています」
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イスラエル軍の今後の動きについて、専門家は次のように指摘しています。
現代イスラム研究センター 宮田律理事長
「イスラエルは地上侵攻を開始するんだと思います。(ガザ地区)北部にハマスの拠点があってまずそれをたたいてから、さらに南部のハマスのメンバーたちを攻撃する」
「南部にもイスラエル軍は展開すると思いますので、そこでまた戦闘が始まるかもしれない。南部に移動したことは必ずしもガザ住民たちの安全を保障するものではないと思う」
「ハマスを完全に制圧して、ハマスの軍事力を完璧なまでにそぎたいというのがイスラエルの狙い」
(10月13日放送『news zero』より)