善意につけ込んで…ウクライナへの寄付募る“詐欺メール”に注意
ウクライナへの支援が広がっています。自動通訳機「ポケトーク」を販売する会社は、日本に避難した人の言葉の壁に対応するため、通訳機1000台を寄贈しました。一方、人の善意につけ込むような事態も起きています。暗号資産で寄付を募る詐欺メールが出回っているとして、ウクライナ大使館が注意を呼び掛けています。
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ロシア軍による侵攻が続くウクライナに、1日でも早く平穏な日々が戻るようにと、身近なところからできる支援も広がっています。
ブルーとイエローのウクライナカラーをあしらった、ハート形のチャーム。東京・港区にある日本のアパレルブランド「サロン・ド・アルファード」がデザインし、先週から販売しているもので、売り上げの全額をウクライナに寄付するといいます。
きっかけは、長年一緒に仕事をしてきた仲間、ウクライナ人のアンナさんの存在です。
サロン・ド・アルファード 満田浩樹社長
「ブランドの顔として登場していただいている。大変お世話になっているモデルさんで、その彼女がウクライナ出身という形で」
普段、チャームは6600円で販売しているといいますが――
満田社長
「値段的にもサンキュー(3900円)ということで、アンナさんへの感謝の気持ちを込めて、少しでも多くの方から支援をいただける金額に」
販売初日に予定数量の100個が完売し、急きょ増産を決めました。
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広がりを見せる支援の輪。東京・港区にあるウクライナ大使館では――
ウクライナ大使
「ヂャークユ」
通訳機
「ありがとう」
自動通訳機「ポケトーク」を販売する会社は14日、ウクライナから日本に避難してきた人の言葉の壁に対応するため、通訳機1000台をウクライナ大使館に寄贈しました。
また、ウクライナ大使館は、これまでに40億円近くの寄付金が集まったと発表しています。
一方、人の善意につけ込むような事態も起きています。
ウクライナ大使館は、ビットコインなどの暗号資産で寄付を募る詐欺メールが出回っているとして、注意を呼び掛ける異例の事態も起きています。
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長期化が懸念される、ロシアによるウクライナへの侵攻。影響は、コロナ禍に欠かせないあのアイテムにも起きていました。
年間1200万枚以上のマスクを製造している、福岡県のメーカーでは――
クロシード 瀧可那子さん
「不織布マスクというのは石油製品の一種になりますので、原油価格の高騰が、マスクの資材価格に直接的に影響があるということになります」
メーカーから不織布を仕入れていますが、その原料となる「ナフサ」が、原油高の影響を受けこの1年で約2倍に高騰。ウクライナ情勢の悪化が、さらなる追い打ちとなることを懸念しているのです。
現状、品薄になることはなく、値上げも考えていないといいますが、クロシードの瀧さんは、「今の世界の情勢がどれだけ続くかによって、長期化すればするほど、(値上げの)可能性はあるのかなと思います」と語りました。
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影響は、身近なあの味にも出ていました。
450円の肉そばが人気の、東京・豊島区にある立ち食いそば店「南天」。安く提供するためには、輸入のそば粉は欠かせませんが、実は、ロシアは世界有数のそばの産地なのです。
南天店主 湯浅清さん
「仕入れるのにどれくらい上がるのか、正直予想がつかない。本当に今回のは困りましたね」
ロシア産の輸入がストップすることで、相場が高騰することを懸念しているのです。
さらに――
湯浅さん
「小麦粉、そば粉もそうなんですけど、石油商品、もしかしたらお肉が値上げっていうのもあるかもしれません」
輸送コストの上昇により豚肉、原油高によるプラスチックの容器など、ありとあらゆるものの仕入価格が上がる心配もあります。
お客さん
「我々の生活に非常に影響が出ているんだなと」
ロシアによる侵攻は、私たちの暮らしも脅かし始めています。