イランが“報復”…イスラエルはどう出るか 日本・世界情勢への影響は 【#みんなのギモン】
日本時間14日の朝、イランがイスラエルに向けて300以上の無人機とミサイルによる攻撃を行いました。4月1日にシリアにあるイラン大使館の関連施設が空爆されたことへの報復とみられています。
15日のギモンは、「イランが報復イスラエルどう出る」です。
イランがイスラエルに対して攻撃したことで緊迫した状況が続いています。まずは何が起きたのかみていきます。
攻撃があったのは日本時間の14日の朝です。イランがイスラエルに向けて300以上の無人機とミサイルによる攻撃を行いました。被害の規模は小さく、少女1人が迎撃した際の破片でケガをしたということです。
◇初の直接攻撃 狙いは?
◇国際社会にどんな影響?
■空爆への報復か 初めて直接の攻撃
イランがなぜ攻撃に踏み切ったのかみていきます。そもそもイランとイスラエルは40年以上対立しています。
去年10月、イスラエルとガザを拠点とするイスラム組織「ハマス」との間で戦闘がはじまりましたが、この「ハマス」をイランは軍事面で支援しています。
イランはこれまでイスラエルと敵対する組織とつながることによって、間接的に対峙(たいじ)しているかたちでしたが今回、初めて直接の攻撃となりました。
きっかけとなったのは4月1日、シリアにあるイラン大使館の関連施設を空爆されたことです。
この空爆によってイラン革命防衛隊の幹部ら13人が死亡しました。イランはこれをイスラエルによるものだと主張していて、この報復として約2週間後、イスラエルを攻撃したという経緯になっています。
イスラエルと敵対する組織の裏で糸を引いているというイランの軍関係者というのが、空爆した当該の施設にいたということで、それで攻撃したとみられています。
イランがこの後、第2波、第3波の攻撃を行うかどうかという点ですが、ロイター通信によると14日、イランの外相はトルコの外相と電話会談した際に「イスラエルに対する報復攻撃は終わった」と述べたそうです。つまり、イラン側から追加攻撃するつもりは今のところないということです。そうすると、今後どうなるのかというのはイスラエルの出方次第ということになります。
では、イスラエルはどう出るのか。国連の安全保障理事会でイスラエル側からイランについてこのような発言がありました。
イスラエル エルダン国連大使
「(イランは)世界の破滅に責任を負うテロ国家。まもなく核戦力を持つだろう。この攻撃はあらゆるレッドラインを越えていて、イスラエルには報復する法的権利がある」
さらにネタニヤフ首相は14日、戦時内閣の閣議を開いて対応を協議し、戦時内閣としてイランに報復する方針を支持しました。時期や規模については意見がまだ分かれているということで、近く協議が再開される見込みです。
今度はイスラエルからイランに攻撃する可能性があるのか、中東情勢が専門の慶応大学・田中浩一郎教授は、「イスラエルはこれまで攻撃を受ければその10倍、100倍の勢いで反撃や報復をしてきた。この報復が、イスラエルが誇る抑止力であって、それをイランに対し徹底的に教え込む意欲にかられるだろう」という見立てを話していました。
イラン軍の参謀総長は国営テレビに出演し、「イスラエルの政権が報復すれば次の作戦はさらに大規模なものになるだろう」というふうに警告しています。報復の連鎖ということでさらに大きく、大きくなっていくだろうということをいっています。また「アメリカには、イスラエルを支援すればアメリカ軍の基地が攻撃対象となると伝えた」とけん制しています。
まさに今後、重要となるのはそのアメリカの動きですが、バイデン政権はイスラエルの防衛自体、イランからの攻撃に対する防衛自体は支援をしていますが、その一方で政府高官はこう述べています。「アメリカはいかなる対抗措置にも関与しない」、つまりイランへの反撃には、アメリカとしては参加しないし、支援もしないと強調しました。
東京大学の鈴木啓之特任准教授によると、イスラエルとイランが仮に戦争状態となってしまえば、これまでの規模とは比べものにならない被害が出て、ペルシャ湾情勢にも多大な影響が及ぶことが予想されるということです。
そうすると、ペルシャ湾を航行する天然ガスや石油のタンカーの航行に大きな支障が出て、日本経済だけでなく世界経済に決定的な打撃を与える可能性があるというふうに指摘しています。
つまり、日本など、特に燃料を中東に依存している国にとっては、安定的な供給が難しくなる局面も出てくるかもしれません。
すでに影響は出ているのか。株式市場の影響が若干出ていて、東京株式市場ですが、ほぼ全面安の展開となりました。15日午前の日経平均株価は一時、700円以上下落しまして、節目の3万9000円を割り込む場面もあったということです。イランによるイスラエル攻撃で中東情勢の緊迫が高まったということで、リスク回避のための売り注文が続いたということでした。
今後、まずはイスラエル側の判断が最大の焦点になってきますが、その判断にアメリカがどの程度、影響力を及ぼせるのか、ここが重要なポイントになります。
(2024年4月15日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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