「ラーメン」で? 韓国・世界遺産ピンチ…山の植物枯れる被害 原因は“飲み残しスープ”か
世界遺産にも登録されている韓国・済州島の山で、いま、ある問題が起きています。植物が枯れるなど、自然が破壊される被害が出ているというのです。その原因は「ラーメン」でした。
雪原に放置されているのは、インスタントラーメンの容器。
周囲には、割り箸や、ラーメンのスープが捨てられた跡も…。
雪が一部、オレンジ色に変色しています。
こういった画像が撮影されたのは、韓国・済州(チェジュ)島の漢拏(ハルラ)山。標高1950メートルほどの韓国で最も高い山で、ユネスコ世界遺産にも登録されています。
季節によって表情を変える、豊かな自然が魅力のこの山が、“ラーメンスープの被害”にさらされているのです。
いったい、何が起きているのでしょうか?
その背景にあるのは、韓国国内に根づいた“ラーメン文化”です。
ソウル中心部を流れる漢江沿いでは、昼時になると、日本では見慣れない風景が…。
横田明記者 NNNソウル
「あちらにも、カップルがラーメンを並べながら、ピクニックをしていますね」
食べているのは、インスタントラーメンです。
韓国国民
「漢江(ハンガン)に来たら、必須コースだと思います」
韓国国民
「外で食べると、普段よりもっとおいしいと思います」
日本では、屋内で食べるイメージが強い即席ラーメンですが…韓国では、外で食べることも一般的です。
訪れた公園には、専用の機械も設置されていました。
韓国国民
「ボタンを押すだけで、勝手に作ってくれます」
漢江(ハンガン)沿いで、袋入りの即席ラーメンを楽しむ、通称「漢江ラーメン」。
人気ドラマやテレビ番組でもシーンとして描かれるほど、一般的な楽しみ方です。
韓国メディアによると、実は、1人あたりの即席ラーメンの消費量が、世界2位だという韓国。
出先でもラーメンを楽しむ文化が、冒頭の漢拏(ハルラ)山にまで広がっているのです。
山のふもとのコンビニには、棚を埋め尽くすほどの大量のカップ麺が──。
登山客に向けて、こんなサービスも。
漢拏山のふもとにあるコンビニの店長
「タンブラーを持ってこなくて、カップラーメンを食べられない方には、(タンブラーの)貸し出しを行っています」
実際に山を取材すると、休憩所のあちらこちら…いたるところで、カップ麺をすする音が聞こえてきます。
なかには、ラーメンを食べるため、山を登っているという人も…。
登山中の韓国国民
「登山したら、最後は必ずカップラーメンで終わらせるんですよ」
登山中の韓国国民
「ラーメンにキンパを食べるために、登山する場合が多いです」
こうした登山客の目的は、SNSへの投稿です。
韓国では、若い世代を中心に、漢拏(ハルラ)山登頂の証しとして、山頂でラーメンを食べる写真を投稿するのがブームになっているのです。
しかし、それと同時に起きているのが、あの問題──。
記者
「割り箸が捨ててありますね」
“ごみの不法投棄”です。
特に問題視されているのが、ラーメンのスープ。
SNSの流行とともに、飲みきれなかったスープを山に捨ててしまう人が続出したということです。
管理者によると、スープは塩分濃度が高いため、世界遺産の豊かな自然に、影響を及ぼすおそれもあるといいます。
漢拏山国立公園管理事務所 申承浩(シンスンホ)さん
「(ラーメンスープの)塩分が、水分の吸収を妨害するため、ここにある植物が、多く枯れることになります」
山の管理団体は清掃作業を行いつつ、スープを捨てないよう呼びかけるほか、次のような看板が……。
横田明記者 NNNソウル
「休憩施設の横には、『“スープ半分+水も半分”にして、ラーメンを作りましょう』と書かれた看板があります」
「スープの量を減らし、飲みきってほしい」と呼びかけているのです。
SNSを巡る、マナー違反──。
漢拏山の管理団体は、環境を守る活動を続けていくとしています。