【命の危機】320万人が栄養失調… タリバン政権で広がる児童労働と貧困 アフガニスタンの今『every.特集』
イスラム主義組織タリバンが約20年ぶりに実権を握ってから2年あまり。アフガニスタンの首都カブールの遊園地を訪れると…子どもたちが遊んでいるものの、母親の姿がない。
タリバンは女性が遊園地や公園に立ち入ることを禁止。女性の権利を制限し、人々への抑圧を強めているのだ。
我々は、イスラムの教えを守っているか監視する、タリバン暫定政権「勧善懲悪省」のパトロールに同行した。
まず向かったのは、結婚式場。タリバンは公共の場での男女の接触を厳しく制限しているため、会場が男女別に分けられているかをチェックする。
また、街では「音楽」を聴いていないかどうかのチェック。タリバンは「若者を惑わせる」として、人々に音楽を聴くことも禁止している。
こうした厳しい抑圧のもと、アフガニスタンの経済は悪化の一途をたどっている。タリバンの支配下で、生活に困窮する人が増加。国民の85%にあたる約3400万人が貧困層だ。
こうした歪みの影響を最も受けているのが、子どもたち。
カブール郊外のレンガ工場では、14歳と4歳の兄弟が働いていた。4歳の弟は、涙ながらに「お金がないから働かなくちゃいけない」と話す。
一家の収入は1か月で7000円ほど。食べていくにも、精いっぱいの金額だ。もともと児童労働が長年にわたり黙認されてきたアフガニスタンだが、タリバンの支配下で経済が悪化し、労働を強いられる子どもはさらに増加した。
貧困は、子どもたちの命も脅かしている。カブールの小児病院には栄養失調で入院している幼い子どもたちの姿があった。医師は「経済状況が悪くなり、ほとんどの親が子どもに食べ物を与えることができない」と話す。
アフガニスタンでは現在、5歳未満の子どものうち半数にあたる約320万人が栄養失調だという。
生後3か月の我が子を失ったという母親は「私の子どもは肺炎で命を落とした。何もしてあげられなかった」「私たちは何も持っていないので支援が必要」だと訴える。
いま、アフガニスタンでは厳しい現実が子どもたちの前に立ちはだかっている。
※詳しくは動画をご覧ください。(2023年9月27日放送「news every.」より)