アフガン…女性の“就労禁止”NGOでも 「貧しい子どもたちの面倒を誰が…」 タリバン復権から2年
アフガニスタンでイスラム主義勢力・タリバンが実権を握ってから2年となるなか、首都・カブールにNNNのカメラが入りました。タリバンによる女性の就労禁止は、子どもたちの支援にも暗い影を落としています。
■「イスラムに反する」美容院の営業も禁止に… “生きがい”失った女性は
アメリカ軍が撤退し、イスラム主義勢力・タリバンがおよそ20年ぶりに実権を握ってから2年。アフガニスタンの首都・カブールでは“異様な光景”が見られます。
多くの子どもたちが遊ぶ市内の遊園地からは、母親の姿が消えました。タリバンは去年11月、女性が遊園地や公園に立ち入ることを禁止したのです。母親たちは離れた場所で、子どもの姿を見守ることしかできません。
さらにタリバンは先月末、「イスラムの教えに反する」という理由で美容院の営業も禁止にしました。6万人以上の女性が職を失ったとみられています。
美容師の職を失ったシャハゾデさん(21)
「私が使っていた仕事道具です。これを見ると、とても悲しくなります」
シャハゾデさんは美容院でメーキャップを担当していました。先月末に店は閉店し、子どものころからの夢で生きがいだった仕事を失いました。7人家族で唯一の収入もなくなり生活も厳しさを増しています。
シャハゾデさん(21)
「持っている宝石を少しずつ売って、そのお金で生活するつもりです。社会的な当然の権利を取り戻したいです」
■女性の権利を侵害する命令“50以上” 少女たちは宗教学校に…
この2年間で出した女性の権利を侵害する命令は、50以上にのぼるといいます。そして、それは教育の場にも及んでいます。
宗教学校を訪ねると多くの少女たちがいました。中学校以上の女子教育を停止したため小学校までしか通えず、少女たちは“せめてもの学びの場”として宗教学校に集まっています。
宗教学校に通う少女(14)
「医師になる夢がありましたが、夢をかなえることはできません」
■“就労禁止”NGOでも
さらに、女性はNGOでの就労も禁止になっています。
NGOの職を失ったラフィさん(27)
「突然『明日から女性は活動してはいけない』と言われました」
ラフィさんが所属していたNGOは、スタッフ50人中40人が女性。職を失うと同時に懸念されるのは、多くの子どもたちが受けていた支援の不足です。
ラフィさん(27)
「地雷で足を失ったこの少女は、家族のために山からまきを拾っていました。貧しい子どもたちのことを誰が面倒を見ているのか、とても心配しています」
タリバンの支配下で、女性たちは様々な権利を奪われ続けています。
ラフィさん(27)
「彼ら(タリバン)の行動には正当性がありません。男女差別のない平和な社会で、女性があらゆる分野で活躍できる国になってほしい」
■“国際社会の声に耳を傾けるべき”と考える高官も?
こうしたアフガニスタンの現状はどうすれば良いのでしょうか。「news zero」水曜日のパートナーである辻愛沙子さんとともに考えました。
有働由美子キャスター
「状況はより深刻になっているわけですが…辻さん」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(『news zero』パートナー)
「本当に言葉にならないです。職を奪うことは人生の選択肢、あるいは自由を奪うことですし、教育を奪うことは未来を奪うことと同じだと思います。仮に政権が変わったりしても、例えば文字が読めないせいで職につけなかったりと、中長期的に影響が出ることだと思っています」
「彼女たちの未来、あるいは人生を変えられるのはとにかく外圧と世論しかないと思うので、“絶対に許されない政治”だと国際社会がプレッシャーをかけ続けていかなければいけないなと強く思います」
有働キャスター
「そのあたり、どうなんでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「実際、タリバン政権の中にも“国際社会の声に耳を傾けるべき”だと考える高官はいるそうなんです。その国際社会の声の1つとして、私たちにできることもあります。例えば、NGOの『ジョイセフ』は、アフガニスタンの女の子たちなどが教育を受ける夢を諦めないよう、ランドセルを送る活動を続けています。私たちも、声を届ける努力を粘り強くしたいですね」
(8月16日放送『news zero』より)