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ソウル梨泰院事故から半年“風化”の懸念… 遺族設置の“追悼施設”巡り市側が“場所代”請求も

2023年4月29日 16:59
ソウル梨泰院事故から半年“風化”の懸念… 遺族設置の“追悼施設”巡り市側が“場所代”請求も

150人以上が犠牲になった韓国・ソウル梨泰院の事故から29日で半年です。街はにぎわいを取り戻しつつある一方、公式の追悼施設の設置などは進まず、事故が“風化”する懸念もでています。

28日、ソウルの梨泰院を歩くと、事故があった路地近くの飲食店はほとんどが開いており、夜になると多くの人が行き交う様子が見られました。

事故後、数か月にわたり街は“ゴーストタウン”のようになっていましたが、今はあちこちで音楽が流れ、にぎわいが戻りつつあります。多くの人々が倒れた現場には、今も数々の追悼メッセージがはり出されています。

一方で、事故の犠牲者を追悼する公的な場所はありません。

遺族らが設置した仮の追悼施設は、ソウル市庁舎前の広場に市の許可を得ないまま設置されている状態です。市側は“違法なもの”だとして撤去したい考えで、遺族側に、場所の使用代としておよそ300万円を請求し、対立が続いています。

遺族たちを巻き込んだ対立は、中央の政治でも起きています。

この日は遺族数人が、与党の党本部前で政府の責任追及と真相究明を求める特別法を推進しようとデモを行いました。

ただ、遺族らは野党と連携して政府批判を続けているため、与党は法案審議に応じていません。政治対立が続く中、事故に対する世間の関心は薄れ“風化”する懸念も出ています。

二女を亡くしたチン・ジョンホさん
「(デモは)最後までやりたいです。そうしてこそ、後で私がうちの子に会ったとき、堂々とできると思います」

22歳の二女を亡くしたチンさん。携帯電話の待ち受け画面は、娘との家族写真を使っています。

チンさん
「ずっと思っていたくて…、見たくて…、こうしています」

首都の中心部で、150人以上が亡くなった未曾有の群集事故から半年。多くの若者たちの犠牲に、政治や社会がどう向き合うのかが改めて問われています。

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