アメリカ“夏の風物詩”独立記念日の花火に「待った」?…背景に北米悩ます“あの災害”
7月4日はアメリカの独立記念日。例年、各地で盛大な花火が打ち上げられアメリカの「誕生日」を祝う。しかし今年は、例年にも増して、この花火への「逆風」が強かった…。
(NNNワシントン支局 渡邊翔)
■アメリカ独立記念日…恒例の花火が“大気汚染”の原因に?
首都ワシントンでは4日、議会前の公園に多くの人々が詰めかけた。毎年恒例の、独立記念日のイベントを観覧するためだ。夕方からコンサートが始まり、イベントは午後9時すぎの盛大な打ち上げ花火で幕を閉じる。
子どもがまだ小さい我が家は、密集する現地を避け、アパートの屋上から花火を鑑賞した。クライマックスが近づくと、連発される花火に向かって住民から「U.S.A.!」コールが起きた。
同じような光景は全米各地で見られ、国をあげてアメリカの“誕生日”を祝う。独立記念日に合わせた花火は日本と同様に、夏の風物詩となっている。
しかし、アメリカメディアでは今年、この花火に対してネガティブな評価も散見された。大規模な打ち上げによって発生する煙などによって、大気が汚染されることが問題視されたのだ。
有力紙ワシントンポストは「意外に思われるかもしれないが、大気質に関するデータで見れば、この祝日は全米各地で一年で最も汚染された日となっている」と指摘。米各紙が引用しているアメリカ海洋大気庁の2015年の調査では、花火が打ち上がる7月4日の夜から翌日にかけては、PM2.5がおよそ42%増加するとも指摘されている。
■北米の山火事のあおりで花火の是非も議論に ドローンで代替も
花火による大気汚染を問題視する論調が今年、特に目立った背景には、カナダで続いている山火事がある。煙は南下して東海岸から各地に広がり、ワシントンでも6月、大気質指数が一時、「非常に健康に悪い」とされる数値に達した。市内はもやに包まれたような曇天となった。
アメリカメディアによると、今回の独立記念日に合わせた行事で、ユタ州ソルトレークシティーやコロラド州ボルダーなどは、山火事の影響も考慮し、隊列を組んだドローンが光でさまざまな形を表現するショーに催しを変更したという。
日本では、花火はアメリカ以上に夏の風物詩だ。花火がドローンへと置き換わっていく日は来るのだろうか。アメリカで行われている議論を見ていると、これから本格化するであろう日本の花火大会のことを考えてしまう。