ダム崩壊「街が消えた」 リビア洪水で死者2万人か…24時間で1年分の雨 背景に「長引く国の混乱」
アフリカ北部リビアで起きた洪水では、亡くなった人が2万人に達する可能性があります。24時間で1年分の雨が降り、ダムが崩壊。街が大規模な被害を受けました。ここまで被害が拡大した背景には、内戦による「国の分裂」がありました。
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リビア・アルバイダの街を11日に撮影した映像では、激しく流れる泥水で、道路が川のようになっています。病院の中にも大量の水が流れ込みました。「水をはけて! 水をはけて!」と声をかけながら、水をはき出している様子が映っています。
11日、北アフリカのリビアで豪雨による洪水が発生。地元メディアによると、24時間で1年分の雨が降り、ダムが崩壊。街が大規模な被害を受けました。別の映像では、建物や車はすべて水に浸かり、車や人が安全に行き来できる道は見当たりません。
北アフリカにあるリビア。特に被害が大きかったのは東部の都市、デルナです。洪水から4日、水は引いたものの、街は泥にまみれ壊滅的な状況に。
被災者(14日リビア・デルナ)
「大きな衝撃音が聞こえました。誰もが聞いたはずです。外に出ると、街が消えていました」
医療従事者(14日リビア・デルナ)
「恐ろしい数の人々が亡くなりました」
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洪水は、甚大な被害を出しました。洪水の起こる前と後の衛星写真を見てみると、洪水後は多くの建物が押し流され、泥がかぶった状態になっています。別の衛星写真では、海から水が街に流れ込み、幹線道路が寸断しているのがわかります。
AP通信によると、これまでに1万1300人以上が死亡。依然として1万人以上の行方がわかっておらず、死者数は今後、2万人に達する可能性もあるとしています。
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なぜここまでの被害になってしまったのか。その背景にあるのが“政治状況”です。国が東西で“分裂状態”にあるのです。
現地メディアなどによると、長引く国の混乱でインフラの整備や改修がままならない状態に。また、デルナがある東部は反政府系の勢力が統治していて、支援がうまく進んでいません。
WHO(=世界保健機関)は、被災者支援のため、200万ドル(=約2億9000万円)の資金提供を発表し、支援物資を送るなど、人道支援を急いでいます。
(9月15日放送『news zero』より)