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「多くの榴弾砲が必要だ」……ゼレンスキー大統領が求める“戦場の女神”とは 露軍の大規模攻撃を阻む「地面」と「士気」

2022年4月19日 9:08
「多くの榴弾砲が必要だ」……ゼレンスキー大統領が求める“戦場の女神”とは 露軍の大規模攻撃を阻む「地面」と「士気」
「多くの榴弾砲が必要だ」……ゼレンスキー大統領が求める“戦場の女神”とは 露軍の大規模攻撃を阻む「地面」と「士気」

激しい攻防が続く、ウクライナ南東部のマリウポリ。ロシア軍は三方向からの包囲を狙い、マリウポリを完全制圧した後も、東部で激しい地上戦が続きそうです。有利に見えながらも士気が低いロシア軍を前に、ウクライナ軍はどう戦おうとしているのでしょうか。

■続々と集結…「挟み撃ち」狙う露軍

有働由美子キャスター
「(ウクライナ)各地で凄惨な状況になっています。今、最もギリギリの攻防が行われているのが、南東部のマリウポリです」

「ウクライナ側は一貫して『最後まで戦う』としていますが、ロシア側はウクライナ側の兵士たちに投降するよう求め、制圧を急いでいるようにも見えます。ロシア軍がマリウポリを完全に制圧すると、次はどうなっていくのでしょうか?」

小野高弘・日本テレビ解説委員
「完全制圧したら、マリウポリにいた部隊が北上するとみられています。アメリカの政策研究機関の分析によると、同時に今、ロシア軍は東から、そして西のイジューム周辺にも、続々と部隊が集まってきています」

「つまり、今東部で踏ん張っているウクライナ軍を、東から南から西からも挟み撃ちし、包囲しようとしています。そしてその結果、東部で、大規模で激しい地上戦になると多くの専門家はみています」

■露軍「有利」と限らない2つの理由

有働キャスター
「ただ、広い範囲で支配を強めつつあるロシア軍が有利でしょうね」

小野委員
「必ずしもそうではない、という分析もあります。地面はとてもぬかるんでいて、ロシア軍が進軍するのは困難な状況です」

「また、集結しているロシア兵も、徴兵されてきたばかりの兵士もいて、士気も高くない。そのため数日のうちに大規模攻撃を仕掛けていく状況にはないといいます」

■ウクライナが求める「戦場の女神」

有働キャスター
「こうしたロシア軍相手に、ウクライナ軍はどう戦おうとしているのでしょうか?」

小野委員
「ゼレンスキー大統領はSNSで配信した動画で、『ウクライナは武器の供給、できるだけ多くの榴弾(りゅうだん)砲が必要だ』と訴えました。榴弾砲という大砲について、現代軍事戦略が専門の『防衛研究所』防衛政策研究室長の高橋杉雄さんに聞きました」

「戦車より射程が長い榴弾砲は、20km先の見えない敵に向けて撃てる。このため前線で戦っている戦車や歩兵部隊を、後ろから極めて強い力で支援できる。榴弾砲を持つ部隊は『戦場の女神』と言われるくらい、役割が重要だといいます」

■徹底抗戦へ…「停戦協議」期待せず?

小野委員
「最近もアメリカから、榴弾砲と砲弾4万発が送られましたが、CNNはアメリカ政府高官の話として、この程度の数だと数日で使い果たす可能性があると伝えました。今のうちに武器をかき集めておきたいウクライナ軍としては、まだまだ足りないと言えそうです」

「ゼレンスキー大統領としては、もはやロシアに停戦協議の期待は持てない、徹底的に戦うしかないという覚悟を示したものだと考えられます。そして欧米に対して、もっと軍事支援してほしいという訴えだとも思います」

有働キャスター
「戦闘が長引いて、停戦が難しくなって、間違いなく言えるのは、市民の犠牲が増え続けるということだけです」

(4月18日『news zero』より)