電気・ガス・水道なし…激戦地だったイルピン、厳しい再建への道 ≪記者リポート≫
ウクライナの首都キーウ近郊からロシア軍が撤退して2週間以上が経ちますが、町が激しく破壊された激戦地では、生活インフラの再建という大きな課題に直面しています。
首都キーウをめぐる攻防の最前線だった街イルピン。ロシア軍のキーウへの侵攻を防ぐため、ウクライナ軍が自ら爆破した橋もあります。激戦の爪痕が深く残りますが、少しずつ街に戻る住民も出てきました。
配給の列に並んでいたのは、3日前に母親と避難先から戻ってきたばかりのナタリアさん。自宅には銃弾や砲撃のあとが無数に残っていましたが、幸い部屋は寝泊まりできる状態でした。
しかし、依然として電気や水道は復旧していません。携帯電話の充電は、自宅近くに作られた臨時の発電施設で一日1回です。ガスもないため、庭で火をおこして食事を作ります。
避難先からイルピンに戻ったナタリアさん「もう、すべてに慣れました」
この日の最高気温はわずか6℃。暖房もない厳しい環境ですが、ナタリアさんはイルピンでの生活を続けていくといいます。
ナタリアさん「私には力がみなぎっています。街を元に戻したい。私はここで生まれました。大好きな街です」
目を覆いたくなるような惨状を目の当たりにしながらも、ウクライナの人々は懸命に前を見ようとしています。