イスラエルが「集中攻撃」か……大規模衝突1か月で今後は? 「バンカーバスター」で地下トンネル破壊か 首相は“統治”関与を示唆
イスラム組織「ハマス」とイスラエルが戦闘を始めて1か月。今後はイスラエル軍がガザ地区の南部を分断し、北部を集中攻撃するとの見方があります。中東情勢の専門家によると、地下貫通型の「バンカーバスター」でトンネルを破壊する可能性もあります。
■ハマス「司令塔」はガザ北部に?
「(イスラエルとイスラム組織『ハマス』の)大規模衝突が始まって1か月。事態は悪化するばかりですが、この後どういうことが起こる恐れがあるのでしょうか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「ガザ地区北部への集中攻撃があるのではないか、とみられています。地図で戦況を確認すると、イスラエル軍が進軍したとみられるエリアは東西に広がり、ガザ地区の北と南を分断したように見えます」
「北部にガザ市があり、狙うべきハマスの司令塔もあるとみられています。このように南北を分断して包囲網を狭めておいて、集中攻撃する可能性があります」
有働キャスター
「集中攻撃とはどのようなものですか?」
小野委員
「中東情勢が専門の現代イスラム研究センター・宮田律理事長によると、焦点は『トンネル』と『バンカーバスター』です。ガザ地区の地下にはトンネルが広がり、ハマスの戦闘員もいます。このトンネルの破壊にバンカーバスターを使う可能性があるといいます」
有働キャスター
「ウクライナでロシア軍が使った兵器ですよね」
小野委員
「地下に貫通する特殊な爆弾で、ウクライナ南部のアゾフスタリ製鉄所の地下に大勢の避難した人たちがいる中、ロシア軍が使ったとされています」
「これをガザの地下トンネルを破壊するために使う可能性があるそうです。そして、隠れているハマスの幹部や戦闘員らが耐えかねて地上に出てきたところを捕らえる作戦だといいます」
有働キャスター
「そういうことになると、逃げ場のない大勢の市民も巻き添えになってしまいます。非常に強硬すぎる手段ですよね」
■イスラエル首相が踏み込んだ発言
小野委員
「イスラエルのネタニヤフ首相は6日、『イスラエルが無期限でガザ地区の安全保障全般の責任を持つことになると思う』と、踏み込んだ発言をしました」
「今後イスラエルはガザ地区をどうしようと考えているのか、攻撃するだけして出ていってしまうのかなど、これまで分かりませんでした。それが初めて、ガザ地区の統治に関与していくことを示唆しました」
「宮田さんはこれについて『イスラエルによるガザ地区の支配を既成事実化していこうとしているのではないか』と話しています」
■落合さん「法と倫理のけん制効かず」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「イスラエルがガザの人々を追い出そうとしているのは、まさにその通りだと思います。ただ一度追い出したら二度と入れないつもりなのだろうな、と思うところはあります」
「世界情勢が、第一次世界大戦くらいの弱肉強食、力による秩序の状態に戻ってしまっていて、法と倫理のけん制が効かなくなっています。諦めているわけではありませんが、非常に無力さを感じてはいます」
有働キャスター
「本当に、諦めてはいけないところです。7日と8日、日本でG7の外相会合が行われています。原油の大部分を中東に頼っていて独自の外交をしてきた日本が議長国です」
「だからこそ、G7で一致して事態の沈静化や戦闘の停止といったメッセージが出せるよう、ギリギリまで責任を果たしてほしいです」
(11月7日『news zero』より)